西岡行政書士事務所
EX-POLICE GYOSEISHOSHI
深夜営業

深夜営業中の接客で要注意|
風営法でNGになる「接待」の境界線

2026.06.02 監修:西岡 祐也(元広島県警察官13年/行政書士)

深夜0時以降もお酒を出すバーやスナックは、深夜営業の届出を出して営業します。ところが、この届出だけで営業している店が、"接客"のつもりでやっていることが、実は風営法でいう「接待」に当たってしまう——これが、深夜営業でいちばん多いトラブルです。届出だけの店が接待をすれば、それは無許可営業。知らずにやっていても、立入りで指摘されれば言い訳は通用しません。

この記事のポイント
結論

深夜営業届だけの店では「接待」はできません。

・接待=特定の客の相手をして、通常の飲食提供を超えてもてなすこと

・隣にはべって継続的に話す/一緒に歌う・手拍子/一緒に踊る/体に触れる = NG

・お酌してすぐ離れる/カウンターで出すだけ/軽い世間話 = セーフ

接待をしたいなら、深夜営業はあきらめて風俗営業の許可を取る。両立はできません。

なぜ「深夜営業届では接待できない」のか

風営法では、接待をする飲食店(キャバクラ・ホストクラブ・スナックの一部など)は「風俗営業の許可」が必要で、しかも深夜0時以降は営業できないことになっています。一方、深夜0時以降にお酒を出すバーや居酒屋は「深夜酒類提供飲食店営業の届出」で営業しますが、この届出では接待ができません

つまり、制度の建て付けはこうなっています。

許可

接待をしたい

風俗営業の許可が必要。ただし深夜0時以降は営業できない。

届出

深夜に営業したい

深夜営業の届出でOK。ただし接待は一切できない。

「接待もしたいし、深夜営業もしたい」は、同じ店では原則として両立できません。届出だけの店が深夜に接待をすれば、風俗営業の無許可営業として扱われます。

そもそも「接待」とは何か

風営法でいう「接待」は、解釈運用基準(法第2条第3項関係)で「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。かみ砕くと、特定の客(または特定のグループ)を相手に、ただ飲食を出すだけでは済まない、一歩踏み込んだもてなしをすることです。ポイントは2つ。

この2つの軸で、行為ごとに「セーフかアウトか」が分かれます。

行為別:セーフとアウトの境界線

解釈運用基準が示す6つの類型を、セーフ/アウトの対で整理します。

01談笑・お酌
×アウト特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手になったり、お酒を提供し続ける
セーフお酌や水割りを作るが速やかに立ち去る/カウンター内で注文に応じて出すだけ/社交辞令の挨拶・若干の世間話
02ショー等
×アウト特定少数の客のためだけに、その場でショーや歌・演奏を見せる・聴かせる
セーフホテルのディナーショーのように、不特定多数の客へ同時に見せる・聴かせる
03歌唱(カラオケ)
×アウト特定少数の客の近くにはべって歌を勧める/手拍子・拍手で褒めはやす/客と一緒に歌う
セーフ客の近くに位置せず不特定の客へ歌を勧める/不特定の客の歌に拍手する/カラオケ準備の手伝い/伴奏の演奏
04ダンス
×アウト特定の客の相手として体に接触しながら踊らせる/接触しなくても特定少数の客の近くで継続して一緒に踊る
セーフダンスを教える能力のある人が、技能・知識を習得させる目的で教授する
05遊戯・ゲーム
×アウト特定少数の客と一緒に、遊戯・ゲーム・競技を行う
セーフ客一人で、または客同士で遊戯・ゲームをさせる
06その他(接触・介助)
×アウト客と体を密着させる/手を握るなど体に接触する/口元まで飲食物を運んで食べさせる
セーフ社交儀礼上の握手/酔った客の介抱に必要な範囲の接触/飲食物を運ぶ・片付ける/荷物・コートを預かる

よくある誤解:「カウンター越しなら接待にならない」

「うちはボックス席もないし、カウンター越しに話すだけだから届出でいい」——これは言うなれば都市伝説です。

接待かどうかは、座席の形(カウンターかボックスか)ではなく、行為の中身で判断されます。カウンター越しであっても、特定の客の相手をして継続的に談笑したり、一緒に歌ったりすれば、それは接待です。逆に、ボックス席のある店でも、注文を受けて出すだけで深い相手をしなければ接待にはなりません。「席の形」で安心せず、「何をしているか」で線を引いてください。

現場の話 元広島県警察官・西岡より

警察によるお店の実態調査は、大きく2種類あります。

一つは、抜き打ちで接客の状態を確認するもの。もう一つは、お店に訪れたことのあるお客さんなどから情報提供があり、その実態を確認しに行くものです。実際の現場では、後者——「あの店、接待しているらしい」という情報をつかんでから動く、というケースが少なくありません。

その確認で違反の実態が明らかになれば、営業停止や許可の取消しといった処分につながる可能性があります。気づかないうちに接客が違反状態になっていた、ということがないように気をつけていただきたいですね。

接待をしたいなら、どうすればいいか

「お客さんと一緒に盛り上がりたい」「隣で話してあげたい」——そういう営業をしたいなら、答えはシンプルです。深夜営業はあきらめて、風俗営業(接待飲食店)の許可を取ること。

許可を取れば、堂々と接待ができます。ただし、その代わり深夜0時以降は営業できません(地域によっては条例で午前1時までなど緩和される場合があります)。「深夜0時まではキャバクラ、それ以降は普通のバー」という使い分けは、原則として認められません。建て付け上、どちらか一方を選ぶことになります。

どちらの営業形態が自分の店に合うのか、構造や立地の要件も含めて、早い段階で整理しておくことをおすすめします。

まとめ

「うちの接客はどっちなんだろう」と少しでも不安があれば、営業を続ける前に確認するのが安全です。広島で深夜営業・風俗営業のことなら、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q深夜営業の届出を出していれば、お客さんの隣に座って話してもいいですか?
A特定のお客さんの隣にはべって継続的に談笑すると、風営法の「接待」に当たり、深夜営業届だけの店では認められません。お酌をしてもすぐにその場を離れる、カウンター内で注文に応じて出す、といった範囲を超えないよう注意が必要です。接待をしたい場合は風俗営業の許可が必要です。
Qカウンターだけの店なら接待にはならないのですか?
Aいいえ。接待に当たるかどうかは座席がカウンターかボックスかではなく、行為の中身で判断されます。カウンター越しでも、特定の客を相手に継続して談笑したり一緒に歌ったりすれば接待です。席の形では判断できません。
Q深夜営業の店が接待をしてしまうと、どうなりますか?
A風俗営業の無許可営業として扱われ、風営法で最も重い罰則(2年以下の懲役または200万円以下の罰金)の対象になります。さらに処分を受けると一定期間、新たに風俗営業の許可申請ができなくなる場合があります。「知らなかった」は通用しないため、線引きを正しく理解しておくことが大切です。
「この接客は接待になる?」
迷ったら、続ける前にご相談を

元広島県警察官13年の行政書士が、お店の営業スタイルを伺ったうえで、深夜営業届のままでよいか、風俗営業の許可を取るべきかを整理します。広島で夜のお店を営むなら、最初の線引きが肝心です。

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