風俗営業許可を取得した後も、「管理者が変わった」「屋号を変えた」「内装を工事した」——こうした変更が生じるたびに、警察署への届出が必要になります。この届出を忘れていると、いつの間にか違反状態になります。
風営法の変更届は変更後10日以内が原則(法人役員変更は20日以内)。対象:①管理者の変更、②役員の変更(法人)、③屋号の変更、④内装・構造設備の変更、⑤営業時間・方法の変更。変更届の提出自体は無料(許可証の書換えは1,500円)。届出を怠ると50万円以下の罰金の対象。
変更があったら「まず確認」が鉄則です。管理者変更・屋号変更は変更後10日以内、法人役員変更は20日以内、内装の大規模変更は工事前に届出が必要です。期限を過ぎた場合も、放置せず速やかに提出してください。
1. 変更届とは何か
風俗営業許可は「許可を受けた時点の内容」で交付されます。その後、許可内容に変更が生じた場合は、変更届を管轄警察署に提出する義務があります(根拠:風営法第9条・第11条)。
許可は「この店が、この内容で、この管理者のもとで営業する」という前提で交付されています。内容が変わっても届出なく営業を続けることは、「異なる内容で許可なく営業している」とみなされる可能性があります。
2. 変更届が必要なケースの一覧
| 変更の内容 | 届出の要否 |
|---|---|
| 管理者が退職・交代した(雇われのママさん・マスターなど) | 必要 |
| 管理者の氏名が変わった(婚姻等) | 必要 |
| 管理者の住所が変わった | 必要 |
| 変更の内容 | 届出の要否 |
|---|---|
| 取締役・監査役が就任・退任した | 必要 |
| 代表取締役が変わった | 必要 |
| 役員の氏名・住所が変わった | 必要 |
※登記変更と変更届は別々の手続きです。「登記は済んでいるから大丈夫」という誤解に注意してください。
| 変更の内容 | 届出の要否 |
|---|---|
| 店の屋号(看板の名前)を変更した | 必要 |
| 法人の商号(会社名)を変更した | 必要 |
| 変更の内容 | 手続きの種類 | 期限 |
|---|---|---|
| 客室面積・間仕切り・出入口位置など構造に関わる大規模な変更 | 変更承認申請 | 工事前 |
| 照明・音響設備の変更など軽微な変更 | 変更届 | 変更後10日以内 |
| 壁紙の張り替え・ソファの張り替えなど外観の変更 | 原則不要 | — |
大規模変更と軽微な変更のどちらに該当するかは、管轄警察署または行政書士に確認してください。
| 変更の内容 | 届出の要否 |
|---|---|
| 営業時間を変更した(繰り上げ・繰り下げ) | 必要 |
| 営業の方法に変更が生じた | 必要 |
経営者が変わる場合は変更届ではなく、新規の許可申請が必要です(手数料24,000円)。常連さんがお店を引き継ぐケースで見落としやすいポイントです。
3. 変更届の提出期限
| 変更の種類 | 期限 |
|---|---|
| 管理者・屋号・営業者・営業時間等の変更 | 変更後10日以内 |
| 法人の役員変更 | 変更後20日以内 |
| 内装の大規模な構造変更 | 工事前(変更承認申請) |
変更届の期限を過ぎた場合、50万円以下の罰金の対象になります。ただし、期限を過ぎた後でも速やかに届出を行うことが重要です。放置するほど違反期間が長くなりリスクが高まります。
当事務所では、期限を過ぎた変更届への対応実績があります。「出し忘れていた」とお気づきの方は、まずご相談ください。
4. 変更届に必要な書類
管理者変更の場合
| 書類 | 取得先 |
|---|---|
| 変更届出書(所定の様式) | 警察署または警察庁HPからダウンロード |
| 新管理者の住民票の写し | 市区町村役場 |
| 新管理者の身分証明書 | 本籍地の市区町村役場 |
| 新管理者の誓約書 | 警察署または警察庁HPからダウンロード |
役員変更の場合(法人)
| 書類 | 取得先 |
|---|---|
| 変更届出書(所定の様式) | 警察署または警察庁HPからダウンロード |
| 新役員の住民票の写し | 市区町村役場 |
| 新役員の身分証明書 | 本籍地の市区町村役場 |
| 新役員の誓約書 | 警察署または警察庁HPからダウンロード |
| 変更後の登記事項証明書 | 法務局(登記完了後) |
※略歴書の要否は管轄警察署によって異なります。事前に確認してください。
屋号変更の場合
| 書類 | 取得先 |
|---|---|
| 変更届出書(所定の様式) | 警察署または警察庁HPからダウンロード |
| 許可証の書換え申請(同時に行う) | 手数料1,500円 |
5. 変更届の手数料
| 手続きの種類 | 手数料 |
|---|---|
| 変更届の提出 | 原則無料 |
| 許可証の書換え(記載内容の変更) | 1,500円(収入証紙) |
| 許可証の再交付 | 1,200円(収入証紙) |
変更届の提出自体は無料です(風営法施行規則に基づく)。許可証の記載内容(屋号・管理者名等)を書き換える場合のみ1,500円の手数料がかかります。
6. よくある見落とし
見落とし①:管理者を兼ねていたスタッフ(雇われのママさん・マスターなど)が退職した
管理者として届け出ていたスタッフが退職した場合、後任を選任して変更届を出す必要があります。「管理者不在」の状態が続くと違反になります。
見落とし②:法人の役員に親族を追加した
「家族を役員に入れただけ」という場合でも、新役員の変更届と書類提出が必要です。
見落とし③:「ちょっとした工事」のつもりが構造設備の変更に該当した
客室の仕切りを増やす・照明を替える・カウンターの位置を変えるなど、「ちょっとした工事」のつもりでも変更承認申請が必要なケースがあります。工事前に必ず確認してください。
7. 元警察官の視点:変更届の現場
変更届の未提出で最も多かったのは、管理者が変わったケースです。特にスタッフの入れ替わりが多い業種では、「管理者を変えたこと」自体を忘れてしまっている経営者が多い印象でした。
「最初に届出を出したから大丈夫」という認識が根強いのですが、風営法の許可は「その時点の内容」で交付されているものです。その後変わった部分を届け出ていなければ、少しずつ許可内容と実態がずれていきます。
行政書士として相談を受けていると、「変更届を出していなかった」という方から、「どのくらい前から出していないかもわからない」という方もいらっしゃいます。そういった場合も、現状を整理して一つずつ対応できますので、まずはご相談ください。
※西岡の警察官時代・行政書士としての経験を踏まえた見解です
8. 変更届の流れ
9. よくある質問(FAQ)
当事務所に実際に寄せられた質問をまとめました。
内装変更の場合、大規模な構造変更は工事前に「変更承認申請」が必要で、軽微な変更は工事後10日以内に変更届を提出します。工事が大規模に当たるかどうかは管轄警察署に確認することをおすすめします。行政書士に依頼すれば書類作成を迅速に進めることができます。
まとめ:変更があったら「まず確認」を習慣に
| 変更の種類 | 届出の要否 | 期限 | 手数料 |
|---|---|---|---|
| 管理者の変更 | 必要 | 変更後10日以内 | 書換えなら1,500円 |
| 役員の変更(法人) | 必要 | 変更後20日以内 | 書換えなら1,500円 |
| 屋号・商号の変更 | 必要 | 変更後10日以内 | 書換えなら1,500円 |
| 内装・構造設備の変更 | 必要(大規模は承認申請) | 大規模:工事前/軽微:変更後10日以内 | 原則無料 |
| 営業時間・方法の変更 | 必要 | 変更後10日以内 | 原則無料 |
| 名義人(経営者)の変更 | 新規許可申請が必要 | — | 24,000円 |
当事務所では、変更届の代行から「これは届出が必要か」という事前確認まで、幅広くサポートしています。まずはお気軽にご連絡ください。