風俗営業の譲渡・相続|
許可は引き継げる?承継できる3パターン
「親のお店を継ぎたい」「お店を買い取って続けたい」「会社を合併することになった」——風俗営業を引き継ぐ場面はさまざまです。このとき多くの方が「許可の名義を書き換えればいい」と考えますが、風俗営業許可に「名義変更」という手続きはありません。引き継げるケースと、引き継げず新規で取り直すケースがはっきり分かれていて、ここを間違えると「無許可営業」になってしまいます。
- 風俗営業許可に「名義変更」はない。承継が認められるのは①相続 ②法人の合併 ③法人の分割の3パターンのみ(いずれも公安委員会の承認が必要)。
- 事業譲渡(第三者への売却)では引き継げない。譲り受けた人が新規で許可を取り直すことになる。
- 相続は、被相続人の死亡後60日以内に「相続承認申請」が必須。この60日は不変期間で、徒過すると許可は失効する。
- 承認申請をすれば、死亡日から承認(または不承認)の通知日まで、営業を継続できる(みなし営業)。
- 承継の大きな利点:許可後に周辺が制限地域になっても継続営業できる。新規取り直しだと、制限地域では二度と許可が取れないことがある。
風俗営業許可に名義変更はありません。引き継げるのは次の3つだけです。
① 相続(個人営業者が亡くなった)/② 法人の合併/③ 法人の分割
いずれも公安委員会の「承認」が必要。
第三者への事業譲渡(売却)では引き継げず、譲受人が新規で許可を取り直します。
引き継げるのは「相続・合併・分割」の3つだけ
風営法では、営業者が変わったときに許可を引き継げるのは、次の3パターンに限られています。いずれも公安委員会に申請して承認を受けることで引き継げます。逆に言えば、この3つ以外の方法で許可は引き継げません。
「事業譲渡」では引き継げない — ここが最大の落とし穴
いちばん誤解が多いのが、第三者への事業譲渡(売却)です。「常連客にお店を売る」「独立する従業員に譲る」といったケースは、相続でも合併でも分割でもありません。つまり、承継の制度が使えず、譲り受けた人が新規で許可を取り直すことになります。建物も内装も従業員もそのまま、お客さんから見れば同じお店でも、営業する人が変わる以上、許可はゼロから取り直しです。
許可を取った後に、近くに病院や学校ができた/用途地域が変わった/条例が変わった——こうした外的な変化で、その場所が今は「許可を取れない場所(制限地域)」になっていることがあります。前のオーナーは古い基準で許可を持っていただけで、新規申請ではもう通らない。これに気づかず店を買い取ってしまうと、目も当てられません。
事業譲渡で店を引き継ぐときは、契約の前に「その場所で今、新規許可が取れるか」を必ず確認してください。
相続のとき:60日以内の「相続承認申請」が命綱
個人で風俗営業許可を持っていた人が亡くなり、相続人が営業を続けたい場合は、相続承認申請を行います。ここには、絶対に外せない期限があります。
そして、申請する大きなメリットがこれです。承認申請をすれば、死亡日から承認(または不承認)の通知が来る日まで、許可があるものとみなされ、営業を継続できます(みなし営業/風営法第7条2項)。
つまり、きちんと60日以内に申請すれば、お店を一日も止めずに引き継げます。逆に申請を忘れて60日を過ぎると、失効して取り直し。しかもその場所が制限地域になっていれば、二度と許可が取れないこともある。だからこそ、相続が起きたら真っ先に動くべき手続きなのです。
なお、相続できるのは民法上の相続人に限られ、内縁の方や特別縁故者は含まれません。相続人が複数いる場合は、遺産分割協議などで承継する相続人を1名に定める必要があります。また、承継する相続人自身が欠格事由に当たらないかは審査されます。
ここまでお話ししてきたのは、あくまで「風俗営業許可」の引き継ぎです。ところが、この「風俗営業許可」と「深夜営業の届出」を取り違えてしまう方が、ときどきいらっしゃいます。
「届出を出し直したり、変更届を出せば自分が引き継げるんでしょう?」と思い込んでおられるのですが、深夜営業の届出はそもそも事業承継の制度がなく、営業者が変われば廃止届を出して、新たに届け出るやり直しになります。許可と届出では、引き継ぎのルールがまったく違うのです。
自分のお店が「許可」なのか「届出」なのか。そこを取り違えると、手続きの段取りが根本から狂ってしまいます。引き継ぎを考え始めたら、まずそこを確認してください。
法人なら「役員が変わる」だけなら新規不要
法人で風俗営業許可を受けている場合、法人格そのものが変わらなければ、社長(役員)が交代しても許可を取り直す必要はありません。役員変更にともなう変更届で済みます。
これは個人営業との大きな違いです。個人だと営業者が亡くなれば相続承認申請が必要ですが、法人なら役員が代替わりしても法人は同じ。だから、事業承継を見据えて最初から法人で許可を取っておくという選択は、引き継ぎを楽にする有効な方法です。ただし、合併や分割で「法人そのもの」が変わる場合は、前述のとおり合併・分割の承認申請が必要になります。
引き継ぎパターン早見表
| 引き継ぎの場面 | 許可の扱い | 必要な手続き |
|---|---|---|
| 個人営業者の死亡(相続) | 引き継げる | 死亡後60日以内に相続承認申請 |
| 法人の合併 | 引き継げる | 合併承認申請(事前) |
| 法人の分割 | 引き継げる | 分割承認申請(事前) |
| 第三者への事業譲渡・売却 | 引き継げない | 譲受人が新規許可を取り直し |
| 法人の役員(社長)交代 | 取り直し不要 | 変更届 |
まとめ
- 風俗営業許可に「名義変更」はない。引き継げるのは相続・合併・分割の3つだけ。
- 事業譲渡では引き継げず、新規取り直し。譲り受ける前に「その場所で今、許可が取れるか」を必ず確認。
- 相続は死亡後60日以内の相続承認申請が必須。申請すれば承認まで営業を継続できる(みなし営業)。
- 承継なら、許可後に制限地域になっても継続営業できる。新規取り直しだと取れないことがある。
- 法人なら役員交代は変更届で済む。引き継ぎを見据えるなら法人での許可取得も検討を。
お店の引き継ぎは、タイミングと手続きの順番がすべてです。とくに相続は60日という短い期限があるので、「まず何をすべきか」を早く押さえることが肝心です。広島で風俗営業の引き継ぎ・相続のことなら、お気軽にご相談ください。
よくある質問
止めずに引き継ぐ段取りをご提案します
引き継ぎは「相続・合併・分割」と「事業譲渡」で手続きがまったく違い、相続には60日という短い期限もあります。元広島県警察官13年の行政書士が、お店を止めずに進める段取りをご提案します。広島で風俗営業の譲渡・相続をお考えなら、早めにご相談ください。