【元警察官が語る】
風営法の立入検査で見られるポイント
元広島県警察官として13年勤務後、行政書士に。立入検査を行う側だった経験を活かし、風営法・深夜営業・古物商など警察申請と開業後の運用を専門にサポートしている。
- 警察の立入検査は風営法37条にもとづく調査。風俗営業店だけでなく、深夜営業届の店(バー等)や深夜営業の飲食店も対象。
- 立入は原則拒否できない。正当な理由なく拒むと100万円以下の罰金の対象で、拒否して逮捕された事例もある。
- 必ず見られるのが従業者名簿。体験入店・業務委託・派遣も含む全員分を、直ちに提示できる状態で備え付ける。
- 立入のきっかけで多いのはお客さんからの通報。原因の1位は営業時間の超過(看板を見れば誰でも分かる)、2位は接待の実態。
- 照明(暗くしての営業)・構造の無断変更・18歳未満の従業員も定番の確認ポイント。日頃から整えていれば、立入は怖くない。
「警察の立入りが来たとしたら、大丈夫でしょうか」——行政書士になってから、こういうご相談を何度もいただきます。皆さん一様に、不安そうな声です。私は元広島県警察官として、立入る側にいた人間です。だからこそ言えるのは、立入検査は、きちんと営業している店にとっては怖いものではないということ。警察が何を見に来ているのかを知っていれば、当日慌てることも、日頃の備えを間違えることもありません。今回は、立入る側だった経験から、「立入検査で何を見ているのか」「どう備えておけばいいのか」をお話しします。
そもそも立入検査とは何か — 拒否はできません
まず前提から。警察の立入検査は、風営法37条にもとづくものです。対象は風俗営業のお店(キャバクラ・スナックなど)だけではありません。深夜営業届で営業しているバーや、深夜に営業している飲食店も対象です。「うちは届出だけの店だから関係ない」ということはないんです。
一度、「職務質問みたいに拒否できるんですか?」と聞かれたことがありましたが、拒否はできません。正当な理由なく立入りを拒むと、それ自体が100万円以下の罰金の対象になります。実際、立入りを拒み続けて逮捕された店の事例もあります。やましいことがなくても、拒んだ時点で「何か隠しているのでは」と見られてしまう。応じるのが唯一の正解です。
一方で、警察側にもルールがあります。立入る警察官は身分を示す証明書を携帯し、提示する義務があります。そして、この立入りの権限は犯罪捜査のために使ってはならないと法律に明記されています。あくまで、風営法が守られているかを確認するための調査です。
立入検査で「必ず」見られるもの — 従業者名簿
では、立入りで警察は何を見るのか。まず間違いなく確認されるのが、従業者名簿です。従業者名簿は、風営法36条で営業所ごとに備え付けが義務づけられている書類です。ポイントは3つあります。
- 「従業員」ではなく「従業者」。正社員やアルバイトだけでなく、業務委託のキャスト、派遣スタッフ、1日だけの体験入店まで、お店で働く全員が対象
- 記載事項が決まっている:住所・氏名・性別・生年月日・採用年月日・退職年月日・従事する業務の内容
- 求められたら直ちに提示できる状態にしておく。パソコン保管も認められているが、「すぐ表示・印刷できる」ことが条件。パスワードが分からず開けなければ不備扱い
なぜ生年月日まで書かせるのか。18歳未満を働かせていないかを確認するためです。年少者の使用は、風営法の中でも特に厳しく見られるところです。名簿の不備は100万円以下の罰金や営業停止につながる、軽くない違反です。
立入る側にいた頃、名簿を求めるときはいつも、「ないかもなぁ」と考えながら声をかけていました。というのも、体感ですが、4〜5割くらいのお店が、名簿を全く作っていなかったからです。それくらい、備え付けられていないのが実情でした。だからこそ、必ず作成しておいてください。それだけで、立入りの印象は大きく変わります。
それから、もう一つ知っておいてほしいことがあります。立入調査が入るきっかけは、大体の場合、出入り禁止にされたお客さんなどの、逆恨みからの通報なんです。出入り禁止にされる人には、もちろんその人自身に原因があるのでしょう。
でも——普段からルールを破って営業していると、こういうときに困るのは自分なんです。通報された内容が事実なら、言い逃れはできません。日頃の営業こそが、いちばんの守りだということです。
定番の確認ポイントはこの5つ
従業者名簿のほかに、立入りでよく確認されるのは次の点です。
立入りが来たら、どう対応するか
当日の対応は、シンプルにこれだけです。
- 身分証明書の提示を確認する
- 求められた資料(従業者名簿など)を素直に出す
- 指摘されたことをメモする(後で正確に対応するため)
- 不明点や不安があれば、その場で争わず、後から専門家に相談する(すぐに直せることなら、専門家に相談するまでもありません。指摘の意味が分からないときや、対応に迷うときにご相談ください)
指摘を受けた場合も、感情的に反論するのは得策ではありません。是正を求められたら速やかに直し、必要なら変更届などの手続きを取る。それが結果的にいちばん早く、傷を浅くします。
最後に — 立入りは「日頃の営業」を映す鏡です
立入検査で慌てる店と、堂々と応じられる店。その違いは、当日の対応力ではなく、日頃の営業がそのまま出ているだけです。
従業者名簿を最新にしておく。申請時の図面と違う変更をしない。調光器を付けない。接待の線を越えない。18歳未満を入れない。——どれも、開業のときに整えた状態を維持するだけのことです。そして、変更の必要が出てきたのなら、変更届を出しておけば大丈夫です。
「うちの名簿、この書き方で大丈夫かな」「この内装変更、届出が要るのかな」と少しでも不安があれば、立入りが来る前に確認しておきましょう。広島で夜のお店を営んでいる方、これから開業する方、お気軽にご相談ください。
よくある質問
一緒に作っておきませんか
従業者名簿の整備、内装変更の要否判断、接待の線引き——立入る側だった元広島県警察官13年の行政書士が、あなたのお店の備えをチェックします。広島で夜のお店を営む方、これから開業する方、お気軽にご相談ください。