自動車運転代行業の認定とは?
二種免許・標識・2024年改正
「夜の店の近くで運転代行を始めたい」——車とドライバーがいればできそうに見えますが、公安委員会の認定が必要です。そして関門が2つあります。お客様の車を運転する人には第二種免許が必須だということ。そして営業所ごとに安全運転管理者を置かなければならないことです。
さらに2024年4月1日から制度が変わりました。長く使われてきた認定証が廃止され、標識に置き換わったのです。ウェブサイトへの掲載義務も加わっています。順に整理します。
- 運転代行業は都道府県公安委員会の認定が必要(許可ではなく認定)。公安委員会は国土交通大臣と協議して同意を得る。
- お客様の車(代行運転普通自動車)を運転するには第二種免許(普通二種・中型二種・大型二種)が必要。普通免許では運転できない。
- 営業所ごとに安全運転管理者を1人選任。随伴用自動車が10台以上なら副安全運転管理者も必要。
- 損害賠償措置の最低補償額は対人8,000万円・対物200万円・車両保険200万円。
- 令和6年4月1日から認定証が廃止され標識に。標識・料金表・約款を営業所に掲示し、ウェブサイトにも掲載(随伴用自動車1台以下またはサイトなしは不要)。
- 広島県の手数料は12,000円、窓口は主たる営業所を管轄する警察署の交通課。拒否されても返金なし。
- 変更届は10日以内(戸籍謄本・登記事項証明書を添付する場合は20日以内)。廃業等届も10日以内。
運転代行業とは
自動車運転代行業とは、他人に代わって自動車を運転する役務を提供する営業で、次の特徴を持つものです。
- 主に夜間に酔客を対象とする
- 酔客等を乗車させる
- 同じ営業の用に供する随伴用自動車が常に伴う
根拠法は自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律です。営業を始めるには、欠格事由に該当しないことについて都道府県公安委員会の認定を受けなければなりません。
▼許可・届出・認可・登録・認定の違いはこちら:許可・届出・認可・登録・認定はどう違う?
お客様の車には二種免許が必要
開業のご相談でいちばん驚かれるのがこれです。顧客の車両(代行運転普通自動車)を運転する者は、第二種運転免許を取得していなければなりません。
| 運転する車 | 必要な免許 |
|---|---|
| お客様の車 (代行運転普通自動車) | 第二種運転免許(普通二種・中型二種・大型二種のいずれか) |
| 随伴用自動車 (自社の車) | 第二種免許は求められない |
つまり普通免許だけのドライバーは、お客様の車を運転できません。随伴車を運転する役であれば問題ありませんが、代行の本体業務は担えないということです。
安全運転管理者を営業所ごとに
もうひとつの関門が安全運転管理者です。営業所ごとに1人選任しなければなりません。主な要件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 20歳以上(副安全運転管理者を置く場合は30歳以上) |
| 経験 | 運転管理の実務経験があること |
| 違反歴 | 過去2年以内に重大な違反がないこと |
随伴用自動車の台数が増えると、副安全運転管理者も必要になります。
| 随伴用自動車の台数(営業所ごと) | 副安全運転管理者 |
|---|---|
| 10台未満 | 不要 |
| 10台以上20台未満 | 1人 |
| 20台以上 | 以降10台ごとに1人加算 |
損害賠償措置の最低補償額
認定の要件として損害賠償措置——つまり保険への加入が求められます。広島県警察が示す最低補償額は次のとおりです。
| 区分 | 最低補償額 |
|---|---|
| 対人 | 8,000万円 |
| 対物 | 200万円 |
| 車両保険 | 200万円 |
ポイントは車両保険が入っていることです。運転代行はお客様の車を運転する業務ですから、万一その車を傷つけた場合の補償が必要になります。通常の自動車保険では、他人の車を運転中の事故が補償の範囲に入らないことがあります。
2024年4月の改正——認定証から標識へ
令和6年4月1日施行の法改正で、長く続いてきた仕組みが変わりました。
| 項目 | 改正後 |
|---|---|
| 認定証 | 廃止され、標識に置き換え |
| 掲示 | 標識・料金表・自動車運転代行業約款を主たる営業所の見やすい場所に掲示 |
| ウェブサイト | ウェブサイトを持つ事業者は、上記3点をウェブサイトにも掲載 |
| 再交付・書換え | 手続が不要に |
| 廃業 | 認定証の返納ではなく廃業等届出書の提出 |
標識は都道府県警察のウェブサイトからデータを取得して、事業者が自分で作成します。届出た内容が変わって標識の記載事項に影響するときは、標識も更新します。
ウェブサイト掲載には細かい条件がある
ここは要注意です。掲載の仕方まで決まっています。
- 標識は画像にしてトップページの見やすい場所に置く
- PDFやExcelファイルへのリンクでは要件を満たさない
- SNSへの掲載では要件を満たさない
一方で免除もあります。随伴用自動車が1台以下の事業者、またはウェブサイトを持たない事業者は、掲載が不要です。なお随伴用自動車が1台でウェブサイトを持っている事業者には、掲載が任意として求められています。
申請の窓口と手数料
広島県での認定申請は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署の交通課に提出します。手数料は12,000円です。
主な欠格事由は次のとおりです。
- 破産して復権を得ていない者
- 罰金刑の執行が終わった等から2年を経過していない者
- 最近2年以内に営業停止命令・廃止命令に違反した者
法人の場合は、役員に該当者がいれば認定を受けられません。役員全員について確認が必要です。
必要書類は、個人の場合で住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)、誓約書、医師の診断書、保険の証明書類、運転管理の経歴書などです。約款は、国土交通省の標準約款を使う場合はコピーの添付が不要で、申請書にその旨を記載します。法人の場合はこれに登記事項証明書、定款、役員名簿、役員全員の住民票・誓約書・診断書が加わります。
このほかに、二種免許の取得費用、保険料、標識の作成費用などがかかります。行政書士に依頼される場合はその報酬も加わりますので、当事務所ではお見積りをお出ししています。
認定後の届出は10日以内
認定を受けたあとも、変更があれば届出が必要です。期限は短く、原則10日以内です。
| 届出 | 期限 |
|---|---|
| 変更届 | 変更日から10日以内 戸籍謄本・抄本や登記事項証明書を添付する場合は20日以内 |
| 廃業等届 | 事由が発生した日から10日以内 |
変更届の対象は幅広く、次のようなものが含まれます。
- 保険の更新
- 随伴用自動車の増減・入替
- 営業所の名称・所在地の変更、営業所の追加・廃止
- 安全運転管理者の変更
- 法人の代表者や役員の変更
廃業の際は、標識・料金表・約款の掲示を削除する必要もあります。
運転代行のご相談で最初にお聞きするのは「二種免許をお持ちの方は何人いらっしゃいますか」です。ここが受けられる件数の上限になるからです。車があってもドライバーの免許がなければ、お客様の車は運転できません。
そしてもうひとつ、保険を必ず確認します。対人8,000万円・対物200万円・車両保険200万円という最低補償額があり、しかも他人の車を運転する業務です。一般の任意保険のままでは補償されない場合がありますから、運転代行業であることを保険会社に伝えて見積りを取ってくださいとお伝えしています。
警察にいた頃から、夜の街で運転代行の車をよく見ていました。酔ったお客様を安全に帰す仕事ですから、制度がきちんと整えられているのは当然だと思っています。ただ、2024年4月に認定証が標識に変わったことや、ホームページへの掲載が義務になったことは、まだご存じない事業者の方が多い印象です。すでに営業されている方も、一度ご確認ください。
よくある質問
運転代行業は公安委員会の認定が必要で、関門は人の確保です。お客様の車を運転するには第二種免許が必須、営業所ごとに安全運転管理者を1人(随伴車10台以上なら副も)。保険は対人8,000万円・対物200万円・車両保険200万円が最低補償額で、他人の車を運転する業務であることを保険会社に伝えて確認してください。
そして令和6年4月1日から認定証が廃止され標識に変わりました。標識・料金表・約款を営業所に掲示し、ウェブサイトを持つなら画像でトップページに掲載(PDFリンクやSNSでは不可/随伴車1台以下またはサイトなしは免除)。すでに営業中の方も確認が必要です。
広島県の手数料は12,000円、窓口は主たる営業所を管轄する警察署の交通課。変更届は10日以内で、保険の更新や車の入替も対象です。ここが最も漏れやすいところです。
- 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(公安委員会の認定、欠格事由、損害賠償措置、料金および約款の提示)
- 国土交通省「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の主な内容」(運転代行業の定義=主に夜間に酔客を対象とし酔客等を乗車させ随伴自動車が常に伴う営業、公安委員会は認定にあたり国土交通大臣と協議し同意を得なければならない、業務中の事故の損害賠償のための保険契約、料金および約款の提示)
- 広島県警察「自動車運転代行業に関する各種手続」(認定申請手数料12,000円・拒否されても返金なし、申請窓口=主たる営業所の所在地を管轄する警察署の交通課、欠格事由、安全運転管理者は営業所ごとに1人で20歳以上(副を置く場合は30歳以上)・運転管理の実務経験・過去2年以内に重大違反がないこと、副安全運転管理者は随伴用自動車10台以上で1人・以降10台ごとに1人加算、損害賠償措置の最低補償額=対人8,000万円・対物200万円・車両保険200万円、必要書類、変更届は10日以内(戸籍謄本等の添付は20日以内)、廃業等届は10日以内、廃業時は標識・料金表・約款の掲示を削除)
- 北海道警察「自動車運転代行業とは」(顧客の車両である代行運転普通自動車を運転する者は第二種免許(普通二種・中型二種・大型二種)を取得していなければならない、営業所ごとに安全運転管理者等を選任、令和6年4月からの標識の掲示とウェブサイトへの掲載)
- 大阪府警察「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の一部改正について(令和6年4月1日施行)」(認定証の廃止と標識への置換え、標識・料金表・自動車運転代行業約款の営業所での掲示とウェブサイトへの掲載、随伴用自動車1台以下またはウェブサイトを持たない場合の免除、標識は画像でトップページに掲載しPDFやExcelへのリンクおよびSNSでは要件を満たさない、再交付・書換え手続の廃止、廃業は廃業等届出書の提出による)
2026年10月時点の内容です。手数料や必要書類は変更されることがあるため、申請前に広島県警察または所管の警察署交通課にご確認ください。
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「運転代行を始めたい」「2024年の改正に対応できているか不安」「車を入れ替えたが届出が必要か分からない」——運転代行は人と保険で段取りが決まります。二種免許と安全運転管理者の体制づくり、保険の確認、認定申請、標識とウェブサイト掲載への対応、変更届まで一貫してお任せください。元広島県警察官として警察申請を数多く扱っています。