西岡行政書士事務所
EX-POLICE GYOSEISHOSHI
横断基礎知識

許可・届出・認可・登録・認定は
どう違う?

2026.06.24 監修:西岡 祐也(元広島県警察官13年/行政書士)

事業を始めようとすると、「許可」「届出」「認可」「登録」「認定」——似たような言葉が次々に出てきます。どれも「役所に書類を出すこと」に見えますが、実は行政の関わり方(=ハードルの高さ)がまったく違います。この記事では、5つの言葉の違いを一覧表で整理し、広島の許認可の具体例——風営法は許可、深夜営業は届出、警備業は認定——に当てはめて、元広島県警察官の行政書士がわかりやすく解説します。

この記事のポイント

なぜ言葉が分かれているのか

これらの言葉は、行政がどこまで、どんな形で関与するかによって分かれています。禁止されている行為を解除してもらうのか、通知すれば足りるのか、名簿に載せるのか——関与の強さが違うため、必要な準備も難易度も変わります。まずは全体像を表で押さえましょう。

種類意味(ざっくり)行政の関与広島・身近な例
許可原則禁止されている行為を、特定の場合に解除して適法にする審査があり、裁量が働く風営法・古物商・道路使用・建設業・飲食店
届出一定の事項を行政に通知する。要件を満たして到達すれば効力が生じる原則、諾否の裁量なし深夜酒類提供飲食店営業開始届
認可私人の契約・法人設立などに効力を補い、有効にする同意がないと効力が生じない農地転用(農地法5条)・学校法人設立
登録名簿(登録簿)に記載・公示して効力を生じさせる要件を満たせば原則拒否できない宅建業者・賃貸住宅管理業・貸金業
認定基準・要件への適合を行政が確認して認める基準適合の確認警備業

許可:禁止を解除してもらう(いちばん重い)

許可は、法律で原則禁止されている行為を、審査を経て特定の人・場所に限って解除する行政行為です。5つの中でもっとも行政の裁量が働き、要件審査のハードルが高いのが特徴です。

広島の例では、風営法(風俗営業許可)、古物商許可、道路使用許可、建設業許可、飲食店営業許可などが該当します。いずれも「基準を満たしているか」を行政がしっかり審査します。

届出:通知すれば足りる(ただし中身は別)

届出は、一定の事項を行政に通知する手続きです。要件を満たした書類が窓口に到達すれば効力が生じ、行政が「許す/許さない」を判断する裁量は原則ありません。

広島の代表例が深夜営業(深夜酒類提供飲食店営業開始届)です。「届出だから簡単」と思われがちですが、添付する図面(求積図)は許可並みに厳密で、ここでつまずく方が少なくありません。名前は届出でも、中身の準備は油断できません。

認可:私人の契約などに効力を与える

認可は、私人どうしの契約や法人設立といった法律行為に、行政が同意を与えて効力を完成させる行為です。認可がないと、その法律行為自体が効力を持ちません。

例として、農地を売って宅地などに転用する農地法5条の手続きは、条文上は「許可」と書かれていますが、当事者の売買契約に行政が同意を与える構造から、講学上は認可の性質を持つとされます。学校法人の設立認可なども認可の例です。

登録:名簿に載せる(許可と届出の中間)

登録は、一定の事項を公の名簿(登録簿)に記載・公示することで効力を生じさせる制度です。要件を満たしていれば行政は原則として登録を拒否できず、許可と届出の中間的な性質を持ちます。

宅地建物取引業者の登録、貸金業の登録、賃貸住宅管理業者の登録などが該当します。

認定:基準への適合を認めてもらう

認定は、一定の基準・要件に適合していることを行政が確認して認める行為です。

広島の例では警備業がこれにあたります。警備業は「許可」と呼ばれがちですが、正式には公安委員会の認定です。

(補足)免許・特許

※これらは行政法学(講学上)の分類で、法律の条文の文言と必ずしも一致しません(農地法5条が条文上「許可」でも講学上は認可、など)。実務では、名前より「結局、何をすれば適法に始められるか」で判断します。
現場の話 元広島県警察官・西岡より

相談を受けていると、「うちは届出だから簡単ですよね?」とよく聞かれます。ところが、深夜営業の届出のように、名前は届出でも、図面の精度は許可並みに求められるものがあります。逆に、名前が重そうでも段取りさえ踏めば通るものもある。

だから私は、言葉の分類そのものより、「その事業を適法に始めるには、具体的に何を満たせばいいか」を一つずつ確認するようにしています。分類を知っておくと見通しは良くなりますが、最後は中身です。名前に惑わされないことが、遠回りしないコツです。

よくある質問

Q許可と届出はどう違いますか?
A許可は原則禁止されている行為を審査のうえ解除するもので、行政の裁量が働きます。届出は一定の事項を通知するもので、要件を満たして到達すれば効力が生じ、原則として諾否の裁量はありません。
Q届出なら簡単ですか?
A手続きの性質としては許可より軽いですが、中身が簡単とは限りません。たとえば深夜営業の届出は、添付する図面が許可並みに厳密で、準備でつまずくことがあります。
Q認可と許可の違いは何ですか?
A許可は禁止の解除、認可は私人の契約や法人設立などの法律行為に効力を補って有効にするものです。認可がないと、その法律行為自体が効力を持ちません。
Q登録は許可とどう違いますか?
A登録は名簿に記載して効力を生じさせる制度で、要件を満たせば原則拒否できません。行政の裁量が広い許可と、通知で足りる届出の中間的な性質を持ちます。
Q警備業は「許可」ですか?
A正式には公安委員会の「認定」です。「警備業許可」と呼ばれることもありますが、制度上は基準への適合を認める認定にあたります。
まとめ

許可・届出・認可・登録・認定は、行政の関わり方が異なります。許可は禁止の解除、届出は通知、認可は法律行為への効力補充、登録は名簿記載、認定は基準適合の確認。広島では風営法=許可、深夜営業=届出、警備業=認定です。

ただし条文の文言と講学上の分類は一致しないこともあり、実務では「何を満たせば適法に始められるか」で判断します。名前に惑わされないことが大切です。

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