キッチンカーは公道で営業できる?
道路使用許可の実際を解説
「キッチンカーは、道路使用許可を取れば好きな道端で売れる」——そう思って調べ始める方は多いのですが、実はここに大きな誤解があります。結論から言うと、個人の営業のために公道の使用許可が下りることは、ほとんどありません。この記事では、なぜ公道での日常営業が難しいのか、ではどんなときなら許可が下りるのか、そして道路使用許可が不要になるケースまで、キッチンカーで独立したい方が最初に知っておくべき実情を、元広島県警察官の行政書士が整理します。
- キッチンカーが公道で日常的に営業するために道路使用許可を取るのは、現実的にはほぼ認められない(営利目的の継続的・排他的な公道利用は不可)。
- 許可が下りるのは祭り・地域イベント等の一時的なケース。多くは主催者が一括で取得している。
- 通常はイベント出店か私有地での営業で行う。私有地なら道路使用許可は不要(所有者の承諾は必要)。
- どの場所でも保健所の営業許可(自動車)は必須。道路使用許可の窓口は警察署交通課。
結論:公道での「日常営業」に道路使用許可はほぼ下りない
道路は本来「人と車が通行する」ための公共空間で、特定の事業者が営利目的で継続的・排他的に使うことは想定されていません。そのため、次のような申請は却下されるリスクが非常に高いのが実情です。
- 「毎週◯曜日、この道端で営業したい」といった恒常的な利用
- 特定の事業者が公道を排他的に使う営業
道路使用許可は「出せば営業できる」ものではなく、警察署が交通の妨げにならない/公益上・慣習上やむを得ないと判断した場合に限って下りる許可です。キッチンカーの通常営業は、このどちらにも当てはまりにくいため、許可されにくいのです。
では、いつ許可が下りる?(一時的なイベント)
例外的に道路使用許可が下りるのは、公益性・一時性が認められるケースです。
- 地域のお祭り・商店街のイベント
- 自治体が主催・共催するイベント
- 地域活性化につながる催し
こうしたイベントでは、主催者がイベント全体として道路使用許可を一括で取得していることが多く、出店するキッチンカーは主催者の許可の枠内で営業します。まずは主催者・実行委員会に確認するのが現実的なルートです。
道路使用許可が「不要」なケース
次のような場所は、そもそも道路使用許可の対象ではありません(別の許可・承諾で営業できます)。
- 私有地での営業:駐車場・空き地・商業施設の敷地などを、所有者の承諾を得て借りる(もっとも一般的)
- 敷地内の一時停車販売:個人宅・会社・店舗の敷地に、決まった時間に立ち寄って売る
- イベント会場内:会場が私有地であれば道路使用許可は不要
多くのキッチンカーは、この私有地営業かイベント出店を軸に営業しています。「公道で自由に」ではなく、「営業できる場所を確保する」ことが開業準備の中心になります。
キッチンカーに本当に必要な許可
公道・私有地にかかわらず、キッチンカーの営業そのものには保健所の営業許可が必須です。道路使用許可は「場所」によって要否が変わります。
| 許可・届出 | 窓口 | 要否 |
|---|---|---|
| 営業許可(自動車) | 保健所 | 必須(車両ごと。調理・提供の範囲が決まる) |
| 道路使用許可 | 警察署 交通課 | 公道で営業する場合のみ(日常営業はほぼ不可) |
| 道路占用許可 | 道路管理者 | 公道に継続的に設置する場合 |
| 私有地の使用承諾 | 土地所有者 | 私有地で営業する場合 |
合法的に公道で営業できるのは、保健所の「食品」の合格点と、警察の「場所と安全」の合格点、両方がそろって初めてです。
費用と窓口
- 道路使用許可:広島県の手数料は2,400円程度(証紙・不還付)。窓口は所轄警察署の交通課。標準処理期間3〜5日。
- 保健所の営業許可:別途必要。手数料・要件は保健所により異なるため、管轄の保健所に確認。
もしイベントで公道に出すなら(通す書き方)
一時的なイベントで公道使用を申請する場合、警察が特に見るのは次の点です。
- なぜこの場所でなければならないか(合理性・公益性)
- 車両の停車位置・寸法(現場見取図に明記)
- 歩行者と車の安全対策(誘導・保安施設の配置)
ここを図面で先回りして示せるかどうかが、可否を分けます。
キッチンカーを始めたい方から「道路使用許可、取れますよね?」と聞かれることがあります。気持ちは分かるのですが、警察署の交通課の立場からすると、一人の事業者が公道を毎週・排他的に使うという申請は、まず通さないのではないかと考えます。なぜかと言うと道路は皆のものだからです。
一方で、お祭りや地域のイベントなら、主催者がまとめて許可を取っていることが多い。だから現実的な近道は、「自分で道端の許可を取る」ことではなく、出られるイベントを探す・停めて良い私有地を探してお願いすることなんです。そのうえで保健所の許可を固める。順番を間違えなければ、キッチンカーの開業はちゃんと形になると思います。
よくある質問
キッチンカーが公道で日常営業するために道路使用許可を取るのは、現実にはほぼ不可能です。許可が下りるのは一時的なイベント等に限られ、通常はイベント出店か私有地営業で行います。
必須なのは保健所の営業許可。「公道で自由に」ではなく「営業できる場所の確保」が開業準備の中心です。
元警察官の行政書士へ
「イベントに出たい」「この場所で売れる?」「保健所と警察、何から?」——そんなときは、営業場所の判定から保健所の営業許可、イベント時の道路使用許可・図面まで、まとめてお任せください。取り締まる側にいた元広島県警察官13年の行政書士が、開業の順番を一緒に組み立てます。