西岡行政書士事務所
EX-POLICE GYOSEISHOSHI
建設業元請を目指す方へ

一般建設業と特定建設業の違いは?
5,000万円の基準と財産4要件

監修:西岡 祐也(行政書士)

建設業許可には一般と特定があります。よくある誤解は「大きい工事を請けるには特定が必要」というもの。これは違います。分かれ目は、請け負う金額ではなく「元請として下請に出す金額」です。
そして基準額は2025年2月1日に引き上げられました。いま検索して出てくる解説のなかには、まだ古い数値のものが混じっています。この記事では、現行の基準、特定で加わる財産4要件、そして7業種だけ実務経験が通用しないという落とし穴までを整理します。

この記事の要点

分かれ目は「下請に出す総額」

まず結論です。特定建設業の許可が必要になるのは、発注者から直接請け負った1件の建設工事について、下請代金の総額が次の金額以上となる下請契約を締結して施工する場合です。

特定建設業が必要になる下請代金の総額
業種下請代金の総額
建築工事業8,000万円以上
上記以外の業種5,000万円以上

これ以外の工事のみを施工する場合は一般建設業の許可になります。

ここで大事なのは、請け負う工事の金額に上限があるわけではないということです。一般建設業の許可でも、1億円の工事を元請で受けること自体はできます。問題になるのは、その工事を下請にいくら出すか。すべて自社で施工するなら、一般のままで構いません。
「大きい工事だから特定が必要」ではなく、「下請に出す額が大きいから特定が必要」——ここを押さえてください。

なお、複数の下請業者に分けて出す場合は合計額で判断します。「1社あたり5,000万円未満に抑えれば大丈夫」とはなりません。

2025年2月に基準が上がった

この金額は、令和7年(2025年)2月1日施行の建設業法施行令の改正で引き上げられました。

金額要件の改正(令和7年2月1日施行)
項目改正前改正後
特定建設業が必要な下請代金
(建築工事業以外)
4,500万円5,000万円
特定建設業が必要な下請代金
(建築工事業)
7,000万円8,000万円
専任の監理技術者等が必要な請負代金
(建築一式工事以外)
4,000万円4,500万円
専任の監理技術者等が必要な請負代金
(建築一式工事)
8,000万円9,000万円

金額が上がったということは、一般建設業のままで対応できる範囲が広がったということです。以前は4,500万円で特定が必要になっていた案件が、いまは5,000万円まで一般で対応できます。

注意していただきたいのが、ネット上の解説の多くがまだ4,500万円/7,000万円で書かれている点です。改正から日が浅いこともあり、更新されていない記事が検索上位に残っています。金額の判断は、必ず現行の数値でしてください。

下請専門なら、いくらでも一般でよい

見落とされやすい、しかし実務でいちばん効く点です。特定建設業が問題になるのは、発注者から直接請け負った元請工事について下請に出す場合だけです。

つまり下請として施工するだけであれば、請け負う金額が5,000万円を超えても、1億円であっても、一般建設業の許可で足ります。

立場ごとの必要な許可
立場下請に出す額必要な許可
元請5,000万円以上(建築工事業8,000万円以上)特定
元請上記未満、または下請に出さない一般
下請——(金額を問わない)一般

専門工事で下請に入ることが多い会社なら、特定を目指す必要はまずありません。財産要件も技術者要件も重くなるので、必要がないのに特定を取ると負担だけが増えます。

業種ごとに決まる

一般か特定かは、会社単位ではなく業種ごとに決まります。そして同じ業種について、一般と特定の両方を受けることはできません。その業種はどちらか一方です。

一方で、業種が異なれば組み合わせは可能です。たとえば土木工事業は特定、とび・土工工事業は一般、という形は取れます。広島県の建設業許可申請の手引きでも、特定と一般の両方の許可を持っている場合は、更新の際にその両方を更新するものとされています。

実務では、元請で動く主力業種だけを特定にして、他は一般のままという組み方をします。全業種を特定にする必要はありません。どの業種で元請に出るのかを整理することが、設計の出発点です。

特定の財産的基礎は4つすべて

ここが特定建設業のいちばん高い壁です。一般と特定で、要件の構造そのものが変わります。

財産的基礎要件の比較
一般建設業
(いずれか1つ)
特定建設業
(4つすべて)
資本金——2,000万円以上
自己資本500万円以上4,000万円以上
欠損——欠損の額が資本金の額の20%を超えない
流動比率——75%以上
その他の充足方法500万円以上の資金調達能力、または許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績——

一般は3つのうちいずれか1つに該当すれば足りますが、特定は4つを全部満たさなければなりません。1つでも欠ければ認められません。

そして見落としやすいのが、この判定は決算書で行われることです。資本金を2,000万円に増資しても、流動比率が75%を下回っていれば通りません。逆に言えば、決算の組み方次第で通る年と通らない年が出てきます。

特定建設業は更新のたびに財産要件を見られます。取得時に満たしていても、その後の決算で基準を割ると更新できません。取るかどうかは、5年先まで維持できるかどうかで考えてください。顧問税理士の方と相談されるのが確実です。

指定建設業7業種という壁

もうひとつの関門が技術者です。特定建設業の営業所に置く特定営業所技術者は、次のいずれかに該当する必要があります。

ところが、次の7業種(指定建設業)については②が使えません。①または③に限られます。

指定建設業(実務経験では特定の技術者要件を満たせない7業種)
指定建設業
土木工事業/建築工事業/電気工事業/管工事業/鋼構造物工事業/舗装工事業/造園工事業

つまり土木や建築で特定を取るなら、1級の国家資格者が必要です。どれだけ長く大きな元請工事を回してきた方でも、資格がなければこの7業種では特定営業所技術者になれません。

ここが特定建設業のご相談でいちばん詰まるところです。財産要件は増資や決算の工夫で手が打てますが、1級資格は受験して合格するしかありません。社内にいなければ、採用か、資格取得の計画か。いずれにしても年単位の話になります。
▼営業所技術者そのものの要件と2024年改正はこちら:専任技術者(営業所技術者)とは?3つのルートと2024年改正

現場の専任は別の金額基準

混同されやすいので整理しておきます。「特定建設業が必要な金額」と「現場に専任の技術者を置かなければならない金額」は別物です。

工事1件の請負金額が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)で、かつ公共性のある施設等に関する重要な工事にあたる場合、現場には専任の監理技術者等を置く必要があります。この金額も令和7年2月1日に引き上げられました(4,000万円/8,000万円から)。

特定建設業の許可を受けた元請が5,000万円以上を下請に出す現場では、主任技術者ではなく監理技術者を置くことになります。許可の区分(一般/特定)と、現場に置く技術者の種類(主任技術者/監理技術者)と、専任が必要かどうか——この3つは別の判定だと考えてください。

費用と期間、広島県の申請窓口

知事許可の新規申請の手数料は90,000円です。広島県の標準処理期間はおおむね45日、許可の有効期間は5年です。このほかに、登記事項証明書や納税証明書などの取得実費と、行政書士に依頼する場合はその報酬がかかります。当事務所の報酬は業種数や証明の難易によって変わりますので、お見積りをお出ししています。

申請先は、主たる営業所の所在地によって分かれます。

広島県の建設業許可の申請窓口
窓口電話管轄
西部建設事務所 建設業課
広島市南区比治山本町16-12
082-250-8161広島市、大竹市、廿日市市、江田島市、安芸郡、山県郡
西部建設事務所 呉支所 管理課
呉市中央一丁目3-25
0823-22-5400呉市
西部建設事務所 東広島支所 管理課
東広島市西条昭和町13-10
082-422-6911竹原市、東広島市、大崎上島町
東部建設事務所 管理課
福山市三吉町一丁目1-1
084-921-1311三原市、尾道市、福山市、府中市、世羅町、神石高原町
北部建設事務所 管理課
三次市十日市東四丁目6-1
0824-63-5181三次市、庄原市、安芸高田市

制度全般の所管は広島県建設産業課(広島市中区基町10-52/082-513-3822)です。なお、2つ以上の都道府県に営業所を置く場合は国土交通大臣許可になり、窓口が変わります。

▼建設業許可そのものの全体像はこちら:建設業許可とは?広島で取るための5要件・費用・期間
▼経営業務の管理責任者の要件と証明方法はこちら:経営業務の管理責任者とは?要件と証明方法
現場の話 行政書士・西岡より

「特定を取りたい」というご相談で、まずお聞きするのは「元請で下請にいくら出されますか」です。ここを確かめると、実は特定が要らないことが半分くらいあります。下請で入る工事がいくら大きくても、一般のままで問題ないからです。

本当に特定が必要な場合は、話が逆に重くなります。財産の4要件は決算書で見られ、しかも更新のたびに見られます。取った年は満たしていても、その後の決算で流動比率を割れば更新できません。ですから「今年取れるか」ではなく「5年維持できるか」でお話しします。

そして土木や建築で特定を目指す方には、1級の資格者が社内にいるかどうかを最初に確認します。この7業種は実務経験では通りません。いなければ、採用か資格取得の計画から始まります。思い立ってすぐ取れる許可ではない——そこを早めにお伝えするのが、私の役目だと思っています。

よくある質問

Q一般建設業と特定建設業の違いは何ですか?
A発注者から直接請け負った1件の工事について、下請代金の総額が5,000万円以上(建築工事業の場合は8,000万円以上)となる下請契約を締結して施工する場合に特定建設業の許可が必要です。それ以外の工事のみを施工する場合は一般建設業の許可になります。請け負える工事の金額に上限があるわけではなく、下請に出す金額で分かれます。
Q特定建設業の金額基準はいつ変わりましたか?
A令和7年(2025年)2月1日施行の建設業法施行令の改正により、従来の4,500万円(建築工事業は7,000万円)から5,000万円(建築工事業は8,000万円)に引き上げられました。インターネット上には改正前の数値のまま書かれた解説が残っているため、判断の際は現行の数値で確認してください。
Q下請として工事をするだけなら特定建設業は必要ですか?
A必要ありません。特定建設業が問題になるのは、発注者から直接請け負った元請工事について下請に出す場合です。下請として施工するだけであれば、請け負う金額が5,000万円を超えても一般建設業の許可で足ります。
Q同じ業種で一般と特定の両方を受けられますか?
Aできません。一般と特定は業種ごとにどちらか一方です。ただし業種が異なれば、一方の業種を一般、他方の業種を特定とすることはできます。広島県の建設業許可申請の手引きでも、特定と一般の両方の許可を持っている場合は更新の際にその両方を更新するものとされています。
Q特定建設業の財産的基礎要件は何ですか?
A次の4つをすべて満たす必要があります。欠損の額が資本金の額の20パーセントを超えていないこと、流動比率が75パーセント以上であること、資本金の額が2,000万円以上であること、自己資本の額が4,000万円以上であることです。一般建設業は、自己資本500万円以上、500万円以上の資金調達能力、許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績のいずれか1つに該当すれば足ります。
Q指定建設業では実務経験で特定建設業の技術者要件を満たせますか?
A満たせません。指定建設業は土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種で、これらについては国家資格等に該当する者、または国土交通大臣が同等以上の能力を有すると認めた者である必要があります。元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験があっても、この7業種では特定建設業の技術者要件を満たすことができません。
Q広島県ではどこに申請しますか?
A知事許可の場合、主たる営業所の所在地に応じて県の建設事務所に提出します。広島市・大竹市・廿日市市・江田島市・安芸郡・山県郡は西部建設事務所建設業課(082-250-8161)、呉市は西部建設事務所呉支所管理課(0823-22-5400)、竹原市・東広島市・大崎上島町は西部建設事務所東広島支所管理課(082-422-6911)、三原市・尾道市・福山市・府中市・世羅町・神石高原町は東部建設事務所管理課(084-921-1311)、三次市・庄原市・安芸高田市は北部建設事務所管理課(0824-63-5181)です。
まとめ

一般と特定の分かれ目は、請け負う金額ではなく元請として下請に出す代金の総額です。5,000万円以上(建築工事業8,000万円以上)なら特定。この基準は2025年2月1日に引き上げられました。

下請として施工するだけなら、金額にかかわらず一般で足ります。必要がないのに特定を取ると、財産要件と技術者要件の負担だけが増えます。

特定を目指すなら、関門は2つ。財産的基礎の4要件を更新のたびに満たし続けられるか、そして指定建設業7業種では1級の国家資格者が必要だという点です。いずれも年単位の準備になりますので、早めに現状を確かめてください。

この記事の根拠
  • 建設業法(第3条の許可の区分、第15条の特定建設業の許可の基準、第26条の主任技術者および監理技術者の設置等)
  • 建設業法施行令(特定建設業に係る下請代金の額、専任の監理技術者等を要する請負代金の額、指定建設業)
  • 国土交通省 報道発表「建設業の各種金額要件や技術検定の受検手数料を見直します」(令和7年2月1日施行。特定建設業に係る下請代金は4,500万円→5,000万円、建築工事は7,000万円→8,000万円。専任の監理技術者等は4,000万円→4,500万円、建築一式工事は8,000万円→9,000万円)
  • 広島県建設産業課「建設業許可申請の手引き(令和7年2月以降)」(一般と特定の区分、特定建設業の財産的基礎4要件、一般建設業の財産的基礎、特定営業所技術者の要件と指定建設業7業種の扱い、特定と一般の両方を有する場合の更新)
  • 広島県「建設業の許可制度について」(申請窓口の所在地・電話番号・管轄区域)
  • 国土交通省中部地方整備局「適正な施工の確保」(令和7年2月時点の金額要件、指定建設業7業種、技術者の資格要件)

2026年10月時点の内容です。金額要件や窓口の管轄は変更されることがあるため、申請前に広島県建設産業課または所管の建設事務所でご確認ください。

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