西岡行政書士事務所
EX-POLICE GYOSEISHOSHI
建設業2024年改正対応

専任技術者(営業所技術者)とは?
3つのルートと2024年改正

監修:西岡 祐也(行政書士)

建設業許可の5要件のうち、経営業務の管理責任者と並んで関門になるのが専任技術者です。そして、この用語は2024年12月13日の改正で「営業所技術者等」に名称が変わりました。さらに同じ改正で、条件を満たせば工事現場の技術者を兼務できる制度も新設されています。この記事では、営業所技術者になれる3つのルート、常勤性の意味、実務経験の証明方法、そして新しい兼務制度の条件を整理します。

この記事の要点

専任技術者(営業所技術者)とは

建設工事の請負契約は、内容が専門的で金額も大きくなります。そこで建設業法は、契約を適正に結び、きちんと履行できる体制を求めています。その技術面を担保するのが専任技術者です。

重要なのは、営業所ごとに、そして許可を受ける業種ごとに必要だという点です。営業所が2つあれば、それぞれに置かなければなりません。また、内装仕上と電気の2業種を取るなら、両方に対応できる人を置く必要があります。1人が複数業種の要件を満たしていれば、その1人で兼ねることができます。

2024年12月の改正で名称が変わった

2024年12月13日に施行された建設業法の改正により、「専任技術者」という呼び方は「営業所技術者等」に変わりました。これは、一般建設業の営業所技術者と、特定建設業の特定営業所技術者をまとめた呼び方です。

名称が変わっただけで、求められる要件そのものに変更はありません。ただし、申請書類や行政の案内では新しい名称が使われるようになっているため、古い解説だけを見ていると用語が食い違って戸惑うことがあります。

この記事では、検索でなじみのある「専任技術者」と、正式な「営業所技術者」の両方を使って説明しています。同じものを指しています。

一般建設業でなれる3つのルート

一般建設業の営業所技術者になるには、次のいずれかを満たします。

一般建設業の営業所技術者になる3つのルート
ルート内容必要な実務経験
① 国家資格許可を受ける業種に対応する国家資格を持っている(施工管理技士、建築士、電気工事士など)不要
② 指定学科卒+実務経験許可業種に対応する指定学科を卒業している
大学・高等専門学校・専修学校(専門士・高度専門士)
高等学校・中等教育学校・上記以外の専修学校

3年以上
5年以上
③ 実務経験のみ学歴や資格を問わず、その業種の工事に従事してきた10年以上

実務上、もっとも確実で早いのは①の国家資格です。資格があれば実務経験の年数を証明する必要がなく、書類の負担が大きく減ります。社内に有資格者がいるなら、まずその人で検討します。

③の10年ルートは資格がなくても使えますが、10年分の工事実績を書類でそろえる必要があり、準備の負担はもっとも重くなります。

特定建設業の場合

特定建設業では、下請を保護する立場になるため要件が厳しくなります。原則として1級の国家資格者等であることが求められます。

または、一般建設業の要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った一定金額以上の工事について、2年以上の指導監督的な実務経験があることでも認められます。

ただし例外があります。土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の指定建設業7業種では、実務経験による方法が使えません。1級の国家資格者等であることが必須です。

「常勤」であることの意味

営業所技術者は、その営業所に常勤していなければなりません。原則として営業日にその営業所へ出勤し、職務に従事している状態を指します。

次のようなケースは認められません。

常勤性は、健康保険被保険者証の写しや住民税特別徴収税額の通知書などで確認されます。

実務経験をどう証明するか

資格ではなく実務経験で要件を満たす場合、その年数を書類で示す必要があります。

ここでも期間の連続性が問われます。10年分が必要なら、その10年のあいだ該当業種の工事に従事していたことを、切れ目なく示す必要があります。また、前職の協力が得られないと証明書が作れないため、転職前に証明書をもらっておくことが将来の備えになります。

現場を兼務できる新制度

従来、営業所技術者は営業所に常勤する立場なので、専任が求められる工事現場の技術者を兼ねることはできませんでした。これが2024年12月13日施行の改正で変わり、条件を満たせば1つの工事に限って現場の技術者を兼務できるようになりました。

主な条件は次のとおりです。

なお、営業所に近接する現場で専任が不要な工事を兼ねる従来の扱いは引き続き可能ですが、この新制度と従来の兼務制度を併用することはできません。

▼建設業許可そのものの全体像(必要になる金額の基準、5要件、広島県の窓口と費用)はこちら:建設業許可とは?広島で取るための5要件・費用・期間
▼もうひとつの関門はこちら:経営業務の管理責任者とは?要件と証明方法
現場の話 行政書士・西岡より

専任技術者のご相談では、まず「資格をお持ちの方はいますか」とお聞きします。資格が1つあるだけで、10年分の書類集めが丸ごと不要になることがあるからです。ご本人が資格を持っていることを忘れている、ということも案外あります。

それから、転職を考えている技術者の方にお伝えしたいことがあります。実務経験証明書は、在籍しているうちにもらっておいてください。辞めたあとに前の勤務先へ依頼するのは、気持ちの面でも手続きの面でも簡単ではありません。その一枚が、将来ご自身が独立するときの土台になります。

よくある質問

Q専任技術者とは何ですか?
A建設業許可の要件のひとつで、請負契約の適正な締結と履行を確保するために、営業所ごとに常勤で置く技術者です。2024年12月13日施行の改正により、名称が「営業所技術者等」に変更されました。許可を受ける業種ごとに必要で、複数の業種を取るなら、その業種に対応できる人を置く必要があります。
Q専任技術者になるには何が必要ですか?
A一般建設業では3つのルートがあります。許可業種に対応する国家資格を持っていること、指定学科を卒業して一定年数の実務経験があること(大学・高等専門学校・専門士等は3年以上、高校・その他の専修学校は5年以上)、または10年以上の実務経験があることのいずれかです。
Q2024年12月の改正で何が変わりましたか?
A名称が「専任技術者」から「営業所技術者等」に変わりました。要件そのものに変更はありません。あわせて、一定の条件を満たせば営業所技術者等が工事現場の技術者を兼務できる制度が新設されました。
Q営業所技術者は工事現場に出られますか?
A2024年12月13日施行の新制度により、条件を満たせば1つの工事に限って現場の技術者を兼務できます。主な条件は、請負金額が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)であること、1日で巡回でき移動時間が概ね2時間以内であること、下請が3次までであること、連絡員を配置すること、施工体制を確認するシステムと現場状況を確認するカメラを設置すること、人員配置計画書を作成し保存することです。
Q特定建設業の専任技術者は要件が違いますか?
A違います。原則として1級の国家資格者等であることが求められます。または一般建設業の要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った一定金額以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験が必要です。ただし土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の指定建設業7業種では、実務経験による方法が使えず、1級の国家資格者等であることが必要です。
Q実務経験はどうやって証明しますか?
A工事の請負契約書、注文書と請書、請求書と入金記録、施工台帳などで、その期間に該当する業種の工事に従事していたことを示します。前職での経験は、前の勤務先が作成する実務経験証明書が必要です。あわせて常勤性を健康保険被保険者証の写しなどで示します。
まとめ

専任技術者は、2024年12月13日の改正で「営業所技術者等」に改称されました。要件は変わらず、一般建設業なら国家資格・指定学科卒+実務経験・実務10年の3ルートです。

同じ改正で現場との兼務制度も新設されました。資格があれば証明の負担は大きく減ります。実務経験で満たすなら、在籍中に実務経験証明書をもらっておくことが将来の備えになります。

この記事の根拠
  • 建設業法第7条第2号(営業所技術者)および第15条第2号(特定営業所技術者)
  • 2024年12月13日施行の建設業法改正(「専任技術者」から「営業所技術者等」への名称変更、営業所技術者等による工事現場の技術者兼務制度の新設)
  • 国土交通省および各都道府県の建設業許可の手引き(指定学科と実務経験年数、指定建設業7業種の取扱い)

2026年10月時点の内容です。要件の運用や金額の基準は改正されることがあるため、申請前に管轄の窓口で最新の情報をご確認ください。

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