「中古車を仕入れてオークションや個人売買で転売しているが、許可が必要?」「自動車ディーラーを開業したいが、何の許可が必要か?」——自動車の売買に関する古物商許可の質問は、思いのほか多く寄せられます。

結論から言えば、中古車の売買を業として行う場合は古物商許可が必要です。ただし、自動車は古物商の中でも「自動車類」という独自の区分があり、一般の古物商とは異なる特殊なルールがいくつかあります。

この記事のポイント

中古車の売買・交換・委託販売を業として行う場合は古物商許可(古物営業法・自動車類4号)が必要。手数料19,000円・標準処理期間40日。自動車商には車台番号(VIN)の記録義務・本人確認義務など一般の古物商にはない特殊ルールがある。

中古車販売=古物商許可(自動車類)が必要。車台番号の記録・本人確認フローの整備が事業開始前に必要な点が他の古物商との大きな違いです。

1. 中古車販売に必要な許可の全体像

許可・手続き根拠法令申請先概要
古物商許可古物営業法管轄警察署中古車の売買・交換等を業として行う場合に必要
古物市場主許可古物営業法管轄警察署中古車のオークション会場を運営する場合に必要
レンタカー事業許可道路運送法陸運局レンタカー事業を行う場合に別途必要

ほとんどの中古車販売業者に関係するのが古物商許可です。

2. 許可が必要なケース・不要なケース

許可が必要なケース

ケース説明許可
中古車ディーラーの開業店舗で中古車を仕入れて販売する必要
ネットオークション(ヤフオク等)での中古車の転売反復継続して仕入れ・販売を行う場合必要
自動車部品(中古)の売買タイヤ・カーナビ・部品等の中古品売買必要
買取専門店(車の買取)消費者から車を買い取って転売する必要
レンタカー取扱店(中古車を使用する場合)古物商許可が必要。なお、レンタカー事業には陸運局への許可申請も別途必要必要

許可が不要なケース

ケース理由
自分が使っていた車を1台売る(非反復・非営利)「業として」に当たらない
廃車・スクラップのみを取り扱う(金属くずとして)古物(再利用目的の品)ではない場合がある
判断が難しいケース

「友人から頼まれて売買の仲介をする」「中古車を3〜4台転売する」などは微妙なラインです。反復継続して利益を得ている場合は許可が必要と考えてください。

3. 自動車商特有の規制(一般の古物商との違い)

特殊ルール ①
車台番号(VIN)の記録義務

古物商が自動車を取得した場合、車台番号(VIN:Vehicle Identification Number)を帳簿等に記録する義務があります。盗難車の流通防止のための規制です。自動車は高額商品であり、盗難・不正改造が多い品目です。

記録が必要な主な事項:

  • 取引年月日
  • 品名(自動車の種別)
  • 数量
  • 車台番号
  • 取引相手の氏名・住所・年齢
特殊ルール ②
本人確認(相手方確認)の義務

古物商が中古車を買い取る際は、売り主の本人確認が義務付けられています。個人間売買で買い取る場合も同様で、「顔見知りだから確認しなくていい」という例外はありません。

  • 運転免許証・マイナンバーカード等の提示を求める
  • 住所・氏名・生年月日を確認・記録する
特殊ルール ③
部品取り・解体車の扱い

廃車や事故車を仕入れて部品を取り出して販売する場合も、「自動車類」の古物商許可が必要です。「廃車はスクラップだから古物ではない」という認識は誤りです。再利用目的で部品を取り出す場合は古物に当たります

4. 自動車商が「落ちやすい」落とし穴

1
「ローン」名義の車の買取
ローン(オートローン)が残っている車は、所有権がローン会社にある場合があります。所有権留保が付いた車を買い取ると、ローン会社とのトラブルに発展することがあります。買取の際は必ず所有権・ローンの有無を確認してください。
2
名義変更前の転売
中古車を仕入れた後、自分名義に変更する前に第三者に転売するケースがあります。古物商としての記録義務が果たせない状態になる可能性があるため、注意が必要です。
3
輸出・並行輸入車の取り扱い
並行輸入車や輸出目的で仕入れた車の取り扱いには、古物商許可に加えて外国為替及び外国貿易法(外為法)等の規制が関係することがあります。専門の行政書士・弁護士への確認をおすすめします。
4
自動車附属品の取り扱い種別
タイヤ・ホイール・カーナビ等の自動車部品は「自動車類」の古物として扱われますが、その他のアクセサリー等は「道具類」として分類される場合があります。取り扱う商品の種類に合わせて申告する古物の種別を確認してください。

5. 申請の流れ(広島の場合)

項目内容
申請先営業所(主たる営業所)を管轄する警察署の生活安全課
申請手数料19,000円(収入証紙)
標準処理期間40日
古物の種別自動車類(4号)を申告

中古車販売業で特に確認すべき書類:営業所の賃貸契約書または使用承諾書(店舗・事務所・展示場)。法人申請の場合は役員全員の住民票・身分証明書・誓約書が必要です。

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6. 個人での中古車転売はどう扱われるか

「副業として中古車をオークションで仕入れて転売しているが、許可が必要か?」という質問が増えています。

パターン判断
1回だけ自分の車を売った不要 業として当たらない
年に数台、仕入れて転売している必要 業として当たる可能性が高い
フリマアプリで中古パーツを定期的に販売している必要 業として当たる

「副業だから大丈夫」「利益が少ないから大丈夫」という理屈は通りません。反復継続して利益を得ている場合は、規模を問わず許可が必要と考えるべきです。

7. よくある質問(FAQ)

当事務所に実際に寄せられた質問をまとめました。

自動車のパーツのみを売買しています。古物商許可は必要ですか?
必要です。中古の自動車部品(タイヤ・ホイール・カーナビ等)は古物営業法上「自動車類」に含まれます。反復継続して利益目的で売買している場合は、古物商許可(自動車類)が必要です。
中古車を1台だけ転売しました。違法になりますか?
1回だけの転売であれば「業として」に当たらないため、古物商許可は不要です。ただし、これを繰り返す場合は「業として」に当たりますので、継続的に転売する予定がある場合は早めに許可を取得してください。
ヤフオクで中古車を落札して転売しています。許可は必要ですか?
反復継続して転売を行っている場合は許可が必要です。ネットオークションを利用した転売も対面での売買と同様に古物営業法の対象となります。「ネットだから大丈夫」という認識は誤りです。
古物商許可を取らずに中古車を転売したらどうなりますか?
古物営業法違反(無許可営業)として、3年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。「知らなかった」では済まない場合があります。
自動車商として古物商許可を取る際に、特に注意することはありますか?
主に3点です。①車台番号(VIN)の記録義務を事業開始前に理解しておくこと、②買い取りの際の本人確認フローを整備しておくこと、③取り扱う品目(自動車本体のみか、部品も含むか)を申請時に正確に申告することです。申請前に行政書士に確認することをおすすめします。

まとめ

確認事項内容
許可の必要性中古車の売買・交換・委託販売を業として行う場合は必要
古物の種別自動車類(4号)
申請先営業所を管轄する警察署の生活安全課
手数料19,000円
標準処理期間40日
自動車商特有の義務車台番号(VIN)の記録・本人確認フローの整備

中古車販売は古物商の中でも扱い金額が大きく、盗難車・ローン車・名義問題など複雑なリスクが存在します。許可取得前に取り扱いルールを正確に把握しておくことをおすすめします。