「昔、罰金を払ったことがあるけど古物商許可を取れる?」「役員に交通事故の前歴がある法人は申請できない?」「以前、許可を取り消された場合はどうなる?」——古物商許可の申請で、欠格事由に関する相談は少なくありません。

古物商許可を受けるためには、申請者(個人または法人の役員)が古物営業法第4条が定める欠格事由に該当しないことが必要です。欠格事由に該当する場合、書類を完璧に揃えても許可は下りません。

この記事のポイント

古物商許可の欠格事由は古物営業法第4条に規定。主な条件:未成年・成年被後見人・破産者・禁錮以上の刑から5年未満・古物営業法等の罰金刑から5年未満・暴力団関係者・住所不定者・許可取り消しから5年未満・法人で役員に欠格事由がある場合。風営法の欠格事由と共通点が多いが「住所不定者」の条件など古物商独自の規定もある。

欠格事由に該当すると、どれだけ書類を整えても許可は下りません。個人申請は申請者本人、法人申請は役員全員が対象です。申請前に必ず現状を確認してください。

1. 欠格事由とは何か

欠格事由とは、「これに該当すると許可を受けられない」という法定の条件です。古物営業法第4条は古物商許可の欠格事由を列挙しています。個人申請の場合は申請者本人が、法人申請の場合は法人および役員全員がこの条件をクリアしていなければなりません。

風営法との比較

古物商許可の欠格事由は、風営法の欠格事由と共通する部分が多いです。ただし「住所不定者」への適用や「対象となる罰金刑の法律の範囲」など、細部が異なります。風営法と古物商の両方を申請する予定がある場合は、それぞれの欠格事由を個別に確認してください。

2. 古物商許可の欠格事由一覧

欠格事由 ①
未成年者

18歳未満の方は申請できません。ただし婚姻によって成年擬制が認められる場合は例外となります。

欠格事由 ②
成年被後見人・被保佐人

成年後見または保佐の審判を受けている方は対象外となります。審判取消後は欠格事由に該当しなくなります。

欠格事由 ③
破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者

破産手続き中の場合、復権(免責決定等)が確定するまで申請できません。

欠格事由 ④ ── 最も影響が大きい
禁錮以上の刑に処せられ、執行終了から5年を経過しない者

禁錮・懲役の刑を受けた場合、執行終了から5年が経過しないと申請できません。

「執行猶予」の場合は、猶予期間が満了した日から5年です(言い渡しの日ではありません)。執行猶予期間中はそもそも申請できません。

欠格事由 ⑤
特定の法律に違反して罰金刑に処せられ、執行終了から5年を経過しない者

対象となる主な法律:

  • 古物営業法
  • 質屋営業法
  • 無限連鎖講の防止に関する法律
  • 特定商取引に関する法律(一部条項)
  • 刑法(傷害・脅迫・窃盗・詐欺・背任・遺失物横領等)
  • 暴力行為等処罰に関する法律
  • 麻薬及び向精神薬取締法・大麻取締法・覚醒剤取締法等

一般的な交通違反の罰金は該当しません(ただし、違反を認めなかったことによる現行犯逮捕→書類送検→罰金のケースは、内容によって該当することがあります。詳しくは行政書士・警察に確認してください)。

欠格事由 ⑥
住所の定まらない者

住所が定まらない方は申請できません。住民票が取得できる状態であれば、この欠格事由には該当しません。

欠格事由 ⑦
古物営業法第24条の規定により許可を取り消されてから5年を経過しない者

過去に古物商許可を取り消された場合、取り消しから5年間は再申請できません。また、許可を取り消された法人の役員だった方も、同じく5年間は個人としての申請もできません。

欠格事由 ⑧
暴力団関係者・暴力的不法行為を犯すおそれがある者

暴力団員や準構成員、または暴力的不法行為を犯すおそれがあると認められる者は申請できません。「おそれがあると認めるに足りる相当な理由がある」場合も含まれます。

欠格事由 ⑨ ── 法人申請で特に重要
法人の役員に上記の欠格事由がある場合

法人申請においては、取締役・監査役等の役員全員が欠格事由に該当しないことが必要です。1人でも該当する役員がいれば、法人への許可は下りません。

3. 欠格事由の確認に必要な書類

書類名取得場所確認できる内容
住民票の写し(本籍地記載あり)市区町村役場住所・本籍地の確認
身分証明書本籍地の市区町村役場後見・破産の有無

刑事罰については書類での証明は原則不要です(警察が独自に照会します)。ただし、虚偽の申告をすることは犯罪となりますので絶対に避けてください。

古物商許可の申請でも、前歴・前科の照会は審査過程で必ず行われます。「過去の罰金は関係ない」「知られないだろう」という判断は通用しません。申請書類に虚偽を書くと、それ自体が犯罪になる可能性があります。

実際に、前科があることを知りながら故意に生年月日を誤記して申請してきた方を審査の過程で発見したことがあります。「書き間違えた」では通らないケースもあります。申請前に正直に現状を把握し、不安がある場合は行政書士に相談してください。

※西岡の警察官時代・行政書士としての経験を踏まえた見解です

4. 欠格事由に該当した場合の対応

① 現状を正確に把握する

欠格事由の多くは「○年を経過すれば解消される」ものです。刑の執行終了日・猶予満了日・許可取消日を正確に確認し、5年が経過しているかどうかを確認してください。

② 「罰金の種類」を確認する

古物商許可で問題になるのは「特定の法律に違反した場合の罰金」です。一般的な交通違反の罰金は対象外になることがほとんどです。ただし、交通事故をめぐるトラブルで傷害・暴行の刑事処分を受けた場合は対象になり得ます。

③ 法人申請で役員に問題がある場合

該当する役員に退任してもらった上で申請するのが基本的な対応です。ただし、欠格事由に該当する人物が実質的に法人を支配している場合は、たとえ役員でなくても許可が下りない可能性があります。

④ 行政書士に相談する

欠格事由に該当するかどうかの判断が難しい場合は、申請前に行政書士に相談することをおすすめします。「申請してから不許可」では手数料19,000円が戻りません。

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5. 風営法の欠格事由との比較

欠格事由古物商許可風営法許可
未成年者対象対象
成年被後見人・被保佐人対象対象
破産者対象対象
禁錮以上の刑から5年以内対象対象
罰金刑から5年以内対象(古物営業法・刑法等)対象(風営法・刑法等)
暴力団関係者対象対象
住所不定者対象(古物商独自)規定なし
許可取り消しから5年以内対象対象
法人の役員への適用対象対象

最大の違いは「住所不定者」の規定です。古物営業法では住所不定が欠格事由として明記されていますが、風営法にはこの規定がありません。

6. よくある質問(FAQ)

当事務所に実際に寄せられた質問をまとめました。

交通違反で罰金を払ったことがあります。古物商許可を取れますか?

一般的な交通違反(スピード違反・駐車違反等)による罰金は、欠格事由⑤の対象となる法律に該当しないため、古物商許可の欠格事由にはなりません。ただし、交通事故に絡んで傷害・暴行などの刑事事件として処理された場合は、内容によって欠格事由に該当することがあります。

また、交通違反現場で逮捕となった場合は切符処理ではなく書類送検されている可能性がありますので、自分がどういう処分を受けたか正確に確認した上で行政書士・警察に相談してください。

懲役刑を受け、執行猶予がついています。申請できますか?
執行猶予中は申請できません。執行猶予が満了してから5年が経過した後に申請できます。猶予満了日を正確に把握した上で、5年が経過しているかを確認してください。
法人の役員が欠格事由に該当することがわかりました。どうすればいいですか?
該当する役員に退任してもらい、役員変更登記を完了した後に申請する方法が一般的です。ただし、欠格事由に該当する人物が引き続き実質的な経営を行っている場合は、役員でなくても許可が認められない可能性があります。詳しくは行政書士に相談してください。
以前、古物商許可を取り消された場合、何年後から申請できますか?
許可取り消しから5年が経過した後に申請できます。また、許可を取り消された法人の役員だった方も、取り消しから5年間は個人としての申請もできません。
欠格事由に当たるかどうか自分では判断できません。どうすればいいですか?
行政書士に相談することをおすすめします。西岡行政書士事務所では、申請前の欠格事由確認相談もお受けしています。LINEまたはお電話からお気軽にご連絡ください。

まとめ:申請前に欠格事由を必ず確認する

欠格事由解消される条件
未成年者18歳になると解消
成年被後見人・被保佐人後見・保佐の審判取消で解消
破産者免責決定(復権)で解消
禁錮以上の刑執行終了または猶予満了から5年後に解消
特定法律での罰金刑執行終了から5年後に解消
住所不定者住所を確定することで解消
暴力団関係者関係の解消が認められると解消
許可取り消し取り消しから5年後に解消

当事務所では、欠格事由の確認から申請書類の作成・提出まで一括してサポートしています。まずはお気軽にご連絡ください。