古物商許可を取った後にやること|
標識・帳簿・本人確認の三大義務
「古物商許可が下りた!これで中古品を売買できる」——おめでとうございます。ですが、許可はゴールではなくスタートです。古物営業には盗品の流通を防ぐという法律の目的があり、営業を始めた古物商には継続的に守るべき義務が課されます。とくに重要なのが、三大義務と呼ばれる①標識の掲示、②帳簿の記録、③本人確認。これらを怠ると、営業停止や許可の取消し、罰則の対象になることもあります。
- 古物商許可は「取って終わり」ではない。営業を始めたら三大義務(①標識の掲示 ②帳簿の記録 ③本人確認)を守る必要がある。
- 標識(プレート):営業所ごとに、公衆の見やすい場所へ掲示。縦8cm×横16cm・紺色地に白文字。許可番号が要るので許可が下りてから作成する。
- 帳簿:取引の都度、日付・品目・特徴・相手方の情報などを記録し、最終記載から3年間保存(紙・電子どちらでも可)。
- 本人確認:買取等のとき、原則1万円以上の取引で必要。ただしバイク・ゲームソフト・CD/DVD・書籍は1万円未満でも必要。2025年10月からは一部の金属製品も少額で対象に。
- 義務を怠ると、営業停止・許可取消や罰則の対象に。「許可を取ったら、次は守るフェーズ」と考える。
① 標識(プレート)を営業所に掲示する
② 取引を帳簿に記録し、3年間保存する
③ 買取などのとき、相手方の本人確認をする
加えて、営業内容が変わったら変更届。義務を守れないと営業停止・許可取消も。
01標識(プレート)を掲示する
許可が下りたら、まず標識(古物商プレート)を用意して、営業所の公衆の見やすい場所に掲示します。これは、その店が正規に許可を受けた古物商であることを示すためのものです。標識には、法令で決まった様式があります。
- サイズ
- 縦8cm × 横16cm
- 材質
- 金属・プラスチックなど耐久性のあるもの(紙は不可)
- 色
- 紺色地に白文字
- 記載事項
- ①公安委員会名 ②許可番号(12桁)③主として取り扱う品目(「◯◯商」)④氏名または名称(法人名。屋号は不可)
注意したいのが、許可番号を記載するため、許可が下りる前には作れないこと。また、③の「◯◯商」の部分は、以前の記事(品目選び)でも触れたとおり、申請で選んだメインの品目が入ります。ここは表記のルールがあり、たとえば金券類なら「チケット商」、自動二輪車なら「オートバイ商」と書きます。品目の正式名称とプレート表記が違うものがあるので、発注時は要注意です。
02帳簿を記録し、3年間保存する
古物の取引をしたら、その都度、帳簿(古物台帳)に記録します。これは盗品が持ち込まれたとき、警察が流通経路をたどれるようにするための、非常に重要な義務です。記録する主な事項は次のとおりです。
- 取引の年月日
- 古物の品目および数量
- 古物の特徴(メーカー・型番・製造番号など)
- 相手方の住所・氏名・職業・年齢
- 本人確認をした方法
帳簿は、紙でも電子データ(Excelなど)でも構いません。ただし電子の場合は、求められたときに直ちに書面で表示できるようにしておく必要があります。そして、最終の記載をした日から3年間、営業所に備え付けて保存します。もし帳簿を破損・紛失・消失してしまったら、すぐに所轄の警察署へ届け出なければなりません。
なお、すべての取引に記録が要るわけではなく、買取価格が1万円未満なら記録が免除される場合があります。ただし免除されない例外品(次項)があるので注意してください。
お店を開業したあと、警察官が店を訪ねてくることがあります。売買の帳簿を確認して、盗品の売買記録がないかどうかを見るためです。
このとき来るのは、許可を扱う生活安全課ではなく、主に盗犯(盗みの捜査)の刑事だと思っていただくといいでしょう。「許可のときに世話になった課とは別の人が来た」と驚かれる方もいますが、これはごく普通のことです。
帳簿がきちんと付いていれば、こうした確認にもすぐ応じられますし、あなた自身が「盗品と知らずに買ってしまった」ときの身の証しにもなります。捜査への協力を、どうぞよろしくお願いします。
03買取のとき、本人確認をする
古物を買い取る(または交換する)ときは、相手方の本人確認をします。売った人が誰かを記録しておくことで、盗品対策になるからです。運転免許証やマイナンバーカードなどで、住所・氏名・職業・年齢を確認します。本人確認が必要になるのは、原則として1万円以上の取引です。
- 自動二輪車・原動機付自転車(およびその部品)
- 家庭用ゲームソフト
- CD・DVDなど(光ディスク)
- 書籍
2025年10月の改正で追加:金属盗の対策として、電線・エアコンの室外機・電気温水器のヒートポンプ・金属製グレーチングなど一部の金属製品も、1万円未満でも本人確認と記録が必要になりました。金属系の買取をする場合は要注意です。
その他:営業内容が変わったら「変更届」
許可を取った後で、届け出た内容に変更があったときは、変更届を提出します。主なものは次のとおりです。
- 氏名・住所・法人の役員などが変わったとき
- 営業所の名称・所在地が変わったとき
- 管理者が変わったとき
- 取扱品目を追加・変更したとき
- ホームページなどで取引をする場合の、そのURL
このうち、ホームページやネットショップで古物を売買する場合は、そのURLの届出が必要です。届出をしていないと、ネット取引が無許可扱いになりかねません。URL届出は少し独特のルールがあるため、別記事で詳しく解説しています。
義務を守らないと、どうなるか
三大義務や各種届出を怠ると、指導・営業停止・許可の取消しといった行政処分や、罰則の対象になります。とくに帳簿の未記録や本人確認の不備は、盗品捜査に直結するため厳しく見られます。
「許可さえ取れば、あとは自由」ではありません。許可を取ったら、次は"守るフェーズ"。最初にきちんと体制(標識・帳簿の様式・本人確認の手順)を整えておけば、あとは日々の運用に組み込むだけです。難しいことではないので、スタート時点で仕組みを作ってしまいましょう。
まとめ
- 古物商許可は取って終わりではない。三大義務(標識・帳簿・本人確認)を継続的に守る。
- 標識:営業所に掲示。縦8×横16cm・紺色地に白文字。許可番号が要るので許可後に作成。屋号ではなく氏名・法人名を記載。
- 帳簿:取引の都度記録し、最終記載から3年間保存(紙・電子可)。
- 本人確認:原則1万円以上。バイク・ゲームソフト・CD/DVD・書籍は1万円未満でも必要。2025年10月から一部金属製品も対象。
- 内容が変わったら変更届(ネット取引ならURL届出も)。義務を怠ると営業停止・許可取消のリスク。
「許可後の体制づくりに不安がある」「帳簿の様式や本人確認の手順を整えたい」——開業後の運用まで含めてサポートします。広島で古物商をお考えなら、お気軽にご相談ください。
よくある質問
開業後の運用まで整えます
標識の準備、帳簿の様式づくり、本人確認の手順——開業後にきちんと運用できる体制を、最初に整えておくと安心です。元広島県警察官13年の行政書士が、許可申請から開業後の運用まで一貫してサポートします。