産業廃棄物収集運搬業許可とは?
広島の要件・費用・政令市の扱い
「解体で出た廃材を運んでほしいと頼まれた」「取引先から処分場まで運ぶ仕事を任されそうだ」——このとき必要になるのが産業廃棄物収集運搬業許可です。処分はせず、運ぶだけでも許可が要ります。
そして広島で調べ始めると、必ず引っかかるのが政令市の扱いです。「広島市でも運ぶなら市の許可も必要なのか」——結論から申し上げると、積替え保管を含まないなら県の許可1つで足ります。この記事では、その仕組みと4つの要件、費用までを整理します。
- 他人から委託を受けて産業廃棄物を収集・運搬する場合に必要。自社の廃棄物を自社で運ぶなら不要。
- 積替え保管を含まなければ、広島県知事の許可1つで広島市・呉市・福山市を含む県内全域の収集運搬ができる(平成23年4月1日から)。
- 積替え保管を含む場合は別——その場所を管轄する県知事または政令市長の許可が必要。
- 許可は積込みと荷卸しの場所の都道府県ごと。県外から運び込むなら両方の県の許可が必要(通過県は不要)。
- JWセンターの講習会修了証が必須。写しのない申請は受け付けられず、誓約書での代替は令和6年3月31日で終了。更新時も新しい修了証が必要。
- 手数料は新規81,000円・更新73,000円・変更71,000円。有効期間は5年、優良産廃処理業者認定を受けると7年。
産業廃棄物収集運搬業許可とは
産業廃棄物収集運搬業許可とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づき、他人から委託を受けて産業廃棄物の収集または運搬を業として行うために受ける許可です。
押さえていただきたいのは次の2点です。
| 場面 | 許可 |
|---|---|
| 他人から委託されて産業廃棄物を運ぶ | 必要 |
| 運ぶだけで処分はしない | 必要(収集運搬業の許可) |
| 自分の事業で生じた産業廃棄物を自分で運ぶ | 不要 |
「処分しないから要らないだろう」という誤解が最も多いところです。運搬そのものが許可の対象です。逆に、自社の廃棄物を自社で運ぶ(自ら運搬)なら許可は要りません。工務店が自分の現場の廃材を自社トラックで処分場へ持ち込むのは、この自ら運搬にあたります。
広島市でも県の許可1つで運べる
広島で最もつまずくのがここです。広島県内には産業廃棄物の事務を処理する政令市が3つあります——広島市、呉市、福山市。かつては、積込みと荷卸しの場所を管轄する知事または政令市長の許可がそれぞれ必要でした。
ところが平成22年の廃棄物処理法施行令の改正により、平成23年4月1日から変わりました。
つまり広島県知事の許可を1つ取れば、広島市内でも呉市内でも福山市内でも運搬できます。市ごとに許可を取り直す必要はありません。広島市のウェブサイトにも、同じ趣旨が明記されています。
積替え保管を含む場合は別
ただし例外があります。積替え保管を含む場合です。
積替え保管とは、運搬の途中で産業廃棄物を一度降ろし、積み替えたり一時的に保管したりすることです。小口で集めた廃棄物を自社のヤードにまとめてから大型車で処分場へ運ぶ——こうした形が該当します。
| 区分 | 必要な許可 |
|---|---|
| 積替え保管を含まない | 広島県知事の許可で県内全域(政令市の区域を含む) |
| 積替え保管を含む | 積替え保管を行う場所を管轄する県知事または政令市長の許可 |
ヤードが広島市内にあるなら広島市長の許可、福山市内なら福山市長の許可という形になります。積替え保管を含む許可は審査される項目が増え、難易度が上がります。保管場所についても基準を満たす必要があります。
なお広島県では、積替え保管を含むものは電子申請ができません(PCBを含むものも同様です)。
県外との行き来は両方の県の許可
もうひとつの基本です。収集運搬業の許可は積込みと荷卸しを行う場所の都道府県ごとに必要になります。
| ルート | 必要な許可 |
|---|---|
| 広島県内で積んで広島県内で降ろす | 広島県知事の許可 |
| 岡山県内で積んで広島県内で降ろす | 岡山県知事と広島県知事の両方 |
| 広島県内で積んで、山口県を通って福岡県で降ろす | 広島県知事と福岡県知事(通過する山口県は不要) |
通る途中の都道府県の許可は要りません。積む場所と降ろす場所、この2点で考えてください。
4つの要件
許可を受けるには、大きく4つの要件を満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 施設 | 扱う産業廃棄物の種類に応じた運搬車両と運搬容器。車両と容器の写真、使用権限を示す書類が必要 |
| 能力(知識・技能) | JWセンターの講習会修了証 |
| 経理的基礎 | 事業を継続して行うに足りる経理的基礎。創業資金の額と調達方法、財務諸表(個人は資産に関する調書)などで示す |
| 欠格要件 | 欠格要件に該当しないこと。誓約書を提出する |
このうち施設と欠格要件は準備すれば整います。経理的基礎も、資金の裏づけを書類で示せれば問題になりにくい。実際にスケジュールを左右するのは、次の講習会です。
最大の関門は講習会修了証
許可申請には、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)の講習会修了証の写しが必要です。そして広島県の案内は、はっきりこう示しています——修了証の写しの添付がない申請は受け付けられません。
さらに、知っておいていただきたい変更が2つあります。
- 未受講の場合に誓約書で代えるという扱いは、令和6年3月31日で終了しました。「受講予定」では申請できません。
- 更新の際は、前に提出した修了証が有効期間内であっても、新たな修了証が必要です。一度取れば済むものではありません。
ですから私は、許可を考え始めた段階で、まず講習会の日程を押さえてくださいとお伝えしています。車両の手配や書類づくりは並行できますが、講習会だけは順番を前に出せません。
費用・有効期間・広島県の窓口
申請手数料は次のとおりです。
| 区分 | 新規 | 更新 | 変更 |
|---|---|---|---|
| 産業廃棄物収集運搬業 | 81,000円 | 73,000円 | 71,000円 |
| 特別管理産業廃棄物収集運搬業 | 81,000円 | 74,000円 | 72,000円 |
このほかに講習会の受講料、登記事項証明書や納税証明書などの取得実費がかかります。広島県では登録車両の証明が1件800円(令和8年4月1日改定)です。行政書士に依頼する場合はその報酬も加わります。当事務所の報酬は扱う廃棄物の種類数や車両数によって変わりますので、お見積りをお出ししています。
有効期間は5年、優良認定なら7年
許可の有効期間は5年です。そして優良産廃処理業者認定を受けると7年に延長されます。認定の基準は5つあります。
- ① 遵法性——一定期間、事業停止命令や改善命令などの特定不利益処分を受けていないこと
- ② 事業の透明性——法人情報、許可内容、処理状況などを一定期間インターネットで公表し、所定の頻度で更新すること
- ③ 環境配慮の取組の実施——ISO14001やエコアクション21などの認証を受けていること
- ④ 電子マニフェストの利用——電子マニフェストシステム(JWNET)に加入し、利用可能であること
- ⑤ 財務体質の健全性——自己資本比率や利益に関する要件を満たし、税・社会保険料・労働保険料を滞納していないこと
認定を受けると、許可期間が延びるだけでなく許可証に優良認定マークが付き、排出事業者へのアピールになります。公共の入札で有利になる場面もあります。
広島県の申請窓口
申請先は、事業場の所在地によって分かれます。
| 窓口 | 担当 |
|---|---|
| 広島県 産業廃棄物対策課 広島市中区基町10-52/082-513-2963 | 広島市・呉市に事業場がある場合、および県外のみに事業場がある場合 |
| 西部・東部・北部の各厚生環境事務所およびその支所 | 上記以外の市町(管轄区域は県のウェブサイトに一覧があります) |
紙の申請は窓口へ持参します。電子申請もできますが、PCBを含むものと積替え保管を含むものは電子申請の対象外です。
産廃のご相談で最初にお聞きするのは、「積替え保管はされますか」です。ここで答えが分かれると、必要な許可の数も難易度もまったく変わってしまうからです。そして多くの場合、積替え保管は要らないという結論になります。県の許可1つで県内全域を運べるのですから、無理にヤードを構える必要はないのです。
次にお伝えするのが講習会です。これだけは、こちらで代われません。しかも日程が限られています。「いつから運搬を始めたいですか」とお聞きして、そこから逆算して受講日を決める。この一手が、全体のスケジュールを決めます。
建設業の方からのご相談も多いのですが、誰が排出事業者なのかで許可の要否が変わります。自社の工事で出た廃材だと思っていても、元請が排出事業者なら他人の廃棄物です。契約の形から確認しますので、工事の請負関係もあわせてお聞かせください。
よくある質問
他人から委託されて産業廃棄物を運ぶなら、処分をしなくても収集運搬業許可が必要です。自社の廃棄物を自社で運ぶ場合は要りません。
広島での結論は明快です。積替え保管を含まなければ、広島県知事の許可1つで広島市・呉市・福山市を含む県内全域を運搬できます。積替え保管を含む場合だけ、その場所を管轄する県知事または政令市長の許可が必要になります。県外との行き来は、積む県と降ろす県の両方の許可です。
そしてスケジュールを決めるのはJWセンターの講習会です。修了証がなければ申請を受け付けてもらえず、誓約書での代替は令和6年3月31日で終了しています。手数料は新規81,000円、有効期間は5年(優良認定で7年)。まず講習会の日程を押さえる——ここから始めてください。
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律、同法施行令(産業廃棄物収集運搬業の許可、許可の有効期間)
- 広島県「産業廃棄物収集運搬業許可の合理化について」(平成22年の廃棄物処理法施行令改正により平成23年4月1日から、積替え保管を含まない収集運搬業は県知事の許可で政令市の区域を含む県内全域の収集運搬が可能。積替え保管を含む場合は積替え保管を行う場所を管轄する県知事または政令市長の許可。県内の政令市は広島市・呉市・福山市)
- 広島県「産業廃棄物処理業に係る許可申請及び届出等」(講習会修了証の写しの添付がない申請は受け付けられない、未受講の場合の誓約書による取扱いは令和6年3月31日で終了、更新時も新たな修了証が必要、更新申請はおおむね2か月前から受付、早期申請により現許可の有効期間が短くなる、登録車両の証明800円、PCBおよび積替え保管を含むものは電子申請の対象外、申請窓口)
- 広島市「産業廃棄物収集運搬業の許可申請」(積替え保管を含まない収集運搬業は広島県知事の許可により広島市を含む県内全域で可能、申請手数料=産業廃棄物収集運搬業 新規81,000円・更新73,000円・変更71,000円、特別管理産業廃棄物収集運搬業 新規81,000円・更新74,000円・変更72,000円、添付書類)
- 優良産廃処理業者認定制度の案内(通常5年の許可の有効期間が7年になる特例、認定基準=遵法性・事業の透明性・環境配慮の取組の実施・電子マニフェストの利用・財務体質の健全性)
2026年10月時点の内容です。手数料や窓口の管轄は変更されることがあるため、申請前に広島県産業廃棄物対策課または所管の厚生環境事務所でご確認ください。
西岡行政書士事務所へ
「廃材の運搬を頼まれた」「元請から許可を取るよう言われた」「県外の現場からも運びたい」——産廃の許可は、積替え保管の有無と講習会の日程で段取りが決まります。必要な許可の範囲の判断、講習会の日程の確認、車両・容器の要件、申請書の作成・提出まで一貫してお任せください。建設業許可とあわせてのご相談も承っています。