産業廃棄物処分業許可とは?
中間処理と15条施設の二段構え
「運ぶだけでなく、自社で破砕までやりたい」——収集運搬をされている方から、こうしたご相談をいただきます。必要になるのが産業廃棄物処分業許可です。
ここで必ず説明するのが2つの落とし穴です。ひとつは収集運搬で使えた「県の許可1つで県内全域」という扱いが、処分業には及ばないこと。もうひとつは処分業の許可を取っても、それだけでは施設を設置できないことです。順に整理します。
- 処分業許可は処分を行う場所を管轄する知事または政令市長から受ける。広島市内で処分するなら広島市長の許可。
- 収集運搬の「県内全域」の扱いは処分業には及ばない。複数の市で処分するなら、それぞれの許可が必要。
- 処分は中間処理(焼却・破砕・脱水・中和・選別など)と最終処分(埋立処分など)に分かれる。
- 処分業許可と施設の設置許可は別物。一定規模以上の施設は廃棄物処理法第15条の設置許可が必要で、設置前に受ける。
- 木くず・がれき類・廃プラスチック類の破砕施設は5トン/日超から設置許可の対象。最終処分場は規模にかかわらず全部対象。
- 講習会は処分の課程が必要。修了証は新規許可講習会が5年、更新許可講習会が2年。
- 広島市の手数料は新規100,000円・更新94,000円・変更92,000円。有効期間は5年(優良認定で7年)。
処分業許可とは
産業廃棄物処分業許可とは、他人から委託を受けて産業廃棄物の処分を業として行うために受ける許可です。処分の内容によって2つに分かれます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 中間処理 | 焼却・破砕・脱水・中和・選別などにより、廃棄物の性状や量を変えること |
| 最終処分 | 埋立処分など、廃棄物を最終的に処分すること |
建設系で多いのは破砕です。がれき類を破砕して再生砕石にする、木くずを破砕してチップにする——こうした事業が中間処理にあたります。
▼収集運搬業許可そのものの全体像はこちら:産業廃棄物収集運搬業許可とは?広島の要件・費用・政令市の扱い
許可権者は処分する場所ごと
ここが1つ目の落とし穴です。処分業の許可は、処分を行う場所を管轄する都道府県知事または政令市長から受けます。
広島市のウェブサイトにも、広島市内で産業廃棄物の処分を業として行う場合には、産業廃棄物処理業の許可を広島市長から受ける必要があると明記されています。
| 収集運搬業 (積替え保管を含まない) | 処分業 | |
|---|---|---|
| 必要な許可 | 広島県知事の許可で政令市の区域を含む県内全域が可能 | 処分を行う場所を管轄する知事または政令市長の許可 |
| 広島市内で行う場合 | 県の許可で可 | 広島市長の許可が必要 |
つまり収集運搬で使えた「県の許可1つ」という考え方は、処分業には通用しません。広島市内に施設を置くなら広島市長の許可、福山市内なら福山市長の許可です。複数の市にまたがって処分場を持つなら、その数だけ許可が必要になります。
処分業許可と施設設置許可は別物
2つ目の落とし穴、そしてこの記事でいちばんお伝えしたい点です。
一定規模以上の施設には、別に「産業廃棄物処理施設の設置許可」が必要です。
根拠は廃棄物処理法第15条です。施設を新たに設置する場合は、事前に設置許可を受けなければなりません。つまり二段構えになっています。
| 処分業の許可 | 処理施設の設置許可 | |
|---|---|---|
| 何の許可か | 業として処分を行うことの許可 | 施設を設置することの許可 |
| 対象 | 処分業を行う者 | 一定規模以上の施設を設置する者 |
| タイミング | 事業を始める前 | 施設を設置する前 |
順番を間違えると大変です。機械を購入して据え付けてから「設置許可が必要だった」と分かるのが最悪の展開です。設置許可は設置前に受けるものですから、後から追いつけません。
設置許可が必要になる規模
設置許可の対象となる施設は、種類ごとに規模が定められています。建設系で関わりの深いものを中心に示します。
| 施設 | 規模 |
|---|---|
| 木くず又はがれき類の破砕施設 | 処理能力5トン/日を超えるもの |
| 廃プラスチック類の破砕施設 | 処理能力5トン/日を超えるもの |
| 廃プラスチック類の焼却施設 | 処理能力100キログラム/日超、または火格子面積2平方メートル以上 |
| 汚泥の脱水施設 | 処理能力10立方メートル/日を超えるもの |
| 汚泥の乾燥施設 | 処理能力10立方メートル/日超(天日乾燥は100立方メートル/日超) |
| 汚泥の焼却施設 | 処理能力5立方メートル/日超、200キログラム/時以上、または火格子面積2平方メートル以上のいずれか |
| 廃油の油水分離施設 | 処理能力10立方メートル/日を超えるもの |
| 廃酸・廃アルカリの中和施設 | 処理能力50立方メートル/日を超えるもの(中和槽を有し、放流目的でないもの) |
| 最終処分場(遮断型・安定型・管理型) | すべてのもの(規模を問わない) |
建設系で押さえるべきは破砕の5トン/日です。がれき類も木くずも廃プラスチック類も、5トン/日を超えると設置許可の対象になります。
そして最終処分場は規模にかかわらずすべてが対象です。遮断型・安定型・管理型のどれであっても、設置許可が必要になります。
講習会は課程が違う
収集運搬業と同じく、処分業の許可申請にも公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターの講習会修了証が必要です。ただし課程が異なります。処分業の許可申請には処分の課程の修了証が必要です。
そして修了証の有効期間にも区別があります。
| 講習会 | 有効期間 |
|---|---|
| 新規許可講習会 | 5年 |
| 更新許可講習会 | 2年 |
注意していただきたいのが、更新許可講習会の修了証を新規の申請に使うことはできないという点です(他の都道府県の許可を既に受けている場合を除きます)。「講習は受けたのだから大丈夫」と思っていても、課程が違えば申請できません。
手数料と有効期間
広島市に申請する場合の産業廃棄物処分業の手数料は次のとおりです。
| 区分 | 手数料 |
|---|---|
| 新規許可 | 100,000円 |
| 更新許可 | 94,000円 |
| 変更許可 | 92,000円 |
収集運搬業の新規81,000円より高く設定されています。両方の許可を取るなら、それぞれに手数料がかかります。このほかに講習会の受講料、登記事項証明書などの取得実費、施設の設置許可が必要な場合はその申請に係る費用が加わります。行政書士に依頼される場合はその報酬もかかりますので、当事務所ではお見積りをお出ししています。
許可の有効期間は5年です。優良産廃処理業者認定を受けた場合は7年に延長されます。更新を受けなければ満了とともに効力を失いますので、期限の管理が必要です。
広島での事前協議
処分業と施設設置は、申請書を出すところから始まるわけではありません。その前に窓口での協議があります。
広島県では、処分業の許可申請および産業廃棄物処理施設に係る設置許可申請については、事前に申請窓口で説明を受けることとされています。収集運搬業(積替え保管を含まない)のように手引きと書類一覧だけで進められるものではありません。
広島市では、「広島市産業廃棄物処理施設の設置等に関する指導要綱」に基づく事前協議が必要となる場合があります。また広島県にも、産業廃棄物処理施設の設置等に伴う紛争の予防と調整を図るための地元調整に関する要綱が定められています。
相談先は広島県産業廃棄物対策課 適正処理グループ(広島市中区基町10-52/082-513-2963)、または広島市・呉市・福山市の各窓口です。
処分業のご相談で、私が最初に確認するのは「どんな機械を入れる予定ですか」です。処理能力の数字で、話がまったく変わってしまうからです。5トン/日を超えれば施設の設置許可が必要になり、地元調整まで入ってきます。
ですから機械を買う前にご相談くださいとお伝えしています。据え付けてから設置許可が必要だと分かっても、設置許可は設置前に受けるものですから、取り返しがつきません。カタログの処理能力を一緒に見るだけで、進む道が決まります。
そしてもうひとつ。収集運搬の許可をお持ちの方は「県の許可があるから大丈夫」と思われがちです。でも処分業は処分する場所ごとの許可です。広島市内に施設を置くなら広島市長の許可。ここを前提にして場所を探していただくほうが、後戻りがありません。
よくある質問
処分業許可は処分を行う場所を管轄する知事または政令市長から受けます。収集運搬の「県の許可で県内全域」という扱いは及びません。広島市内に施設を置くなら広島市長の許可です。
そして処分業の許可と施設の設置許可は別物です。木くず・がれき類・廃プラスチック類の破砕は5トン/日を超えると第15条の設置許可が必要になり、最終処分場は規模を問わずすべて対象。設置許可は設置前に受けるものですから、機械を据え付けてからでは間に合いません。
講習会は処分の課程が必要で、修了証は新規5年・更新2年。広島市の手数料は新規100,000円、有効期間は5年(優良認定で7年)。施設を置く話には事前協議と地元調整が付きますので、機械選定と立地の段階からご相談ください。
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条(産業廃棄物処理業の許可)、第15条(産業廃棄物処理施設の設置許可)、同法施行令
- 広島市「産業廃棄物処分業(最終処分)の許可申請」(広島市内で産業廃棄物の処分を業として行う場合は広島市長の許可を受ける必要がある旨、申請手数料=新規100,000円・更新94,000円・変更92,000円、「広島市産業廃棄物処理施設の設置等に関する指導要綱」に基づく事前協議、提出書類)
- 広島市「許可申請に関する講習会」(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施、修了証の有効期間は新規許可講習会が5年・更新許可講習会が2年、更新許可講習会の修了証は新規申請には使用できない(他の都道府県の許可を受けている場合を除く)、広島県内の受付は一般社団法人広島県資源循環協会)
- 広島県「産業廃棄物処理業に係る許可申請及び届出等」(処分業の許可申請および産業廃棄物処理施設に係る設置許可申請は事前に申請窓口で説明を受けること、産業廃棄物処理施設の設置等に伴う紛争の予防と調整のための地元調整の要綱、問い合わせ先=産業廃棄物対策課 適正処理グループ 082-513-2963)
- 広島県「産業廃棄物収集運搬業許可の合理化について」(積替え保管を含まない収集運搬業は県知事の許可で政令市の区域を含む県内全域が可能であること。処分業はこの対象外)
- 千葉県「産業廃棄物処理施設について」(設置許可を要する施設の種類と規模=木くず又はがれき類の破砕施設および廃プラスチック類の破砕施設は5トン/日超、汚泥の脱水施設・乾燥施設・廃油の油水分離施設は10立方メートル/日超、汚泥の焼却施設は5立方メートル/日超または200キログラム/時以上または火格子面積2平方メートル以上、廃プラスチック類の焼却施設は100キログラム/日超または火格子面積2平方メートル以上、廃酸・廃アルカリの中和施設は50立方メートル/日超、遮断型・安定型・管理型の最終処分場はすべて)
2026年10月時点の内容です。手数料や対象施設の規模は改正されることがあり、また施設の立地には他の法令の規制もかかるため、計画の段階で広島県産業廃棄物対策課または広島市・呉市・福山市の各窓口にご相談ください。
西岡行政書士事務所へ
「破砕までやりたい」「どの行政庁の許可になるか分からない」「この機械なら設置許可が要るのか」——処分業は許可権者と施設の規模で段取りが決まります。機械の処理能力の確認、許可の振り分け、事前協議の進め方、講習会の課程と日程、申請書の作成・提出までお任せください。収集運搬業許可や建設業許可とあわせてのご相談も承っています。