産業廃棄物マニフェストとは?
返送期限と6月30日の報告
産業廃棄物の処理を業者に頼むとき、必ず付いてくるのがマニフェスト(産業廃棄物管理票)です。これは収集運搬業者の話ではなく、廃棄物を出す側=排出事業者の義務です。建設工事なら元請業者が負います。
そして毎年6月30日に期限が来るのが交付等状況報告書。ここで多くの建設業者が手を止めるのが「現場ごとに報告するのか」という点ですが、広島県にはまとめられる扱いがあります。知らないと無駄な作業が増えます。
- 交付義務者は排出事業者。建設工事では元請業者が交付する。
- 返送期限は運搬終了票・処分終了票が90日以内、最終処分終了票が180日以内。特別管理産業廃棄物は60日以内。
- 期限内に届かないときは、処理状況を把握して必要な措置を講じ、措置内容等報告書で都道府県知事等に報告する。
- 返送された票は5年間保存。
- 交付等状況報告書は毎年6月30日まで(対象は前年4月1日〜3月31日に交付した紙の管理票/広島県の受付は4月1日から)。
- 広島県では、県内に複数ある工事現場を営業所・支店ごとに1つの報告にまとめられる(名称は「県内一円の工事現場等」など)。固定事業場は事業場ごとに個別。
- 電子マニフェストの分は報告不要(情報処理センターが行政報告)。特別管理を年間50トン以上排出する事業場は電子マニフェストが義務。
マニフェストとは
マニフェスト(産業廃棄物管理票)とは、産業廃棄物の処理を他人に委託するときに、排出事業者が交付しなければならない管理票です。委託した廃棄物が最後まできちんと処理されたかを、返送されてくる票で確認する仕組みになっています。
交付するのは排出事業者です。建設工事で生じた廃棄物については、発注者から直接工事を請け負った元請業者が排出事業者になりますので、元請がマニフェストを交付します。
▼誰が排出事業者になるかはこちらで詳しく解説しています:産業廃棄物の20種類と建設廃棄物|排出事業者は元請
返送期限は90日・180日・60日
交付したあと、処理の段階ごとに票が返ってきます。それぞれいつまでに送付を受けなければならないかが決まっています。
| 返ってくる票 | 産業廃棄物 | 特別管理産業廃棄物 |
|---|---|---|
| 運搬終了票 (いわゆるB2票) | 90日以内 | 60日以内 |
| 処分終了票 (いわゆるD票) | 90日以内 | 60日以内 |
| 最終処分終了票 (いわゆるE票) | 180日以内 | 180日以内 |
覚え方としては「運搬と処分は90日、最後は180日、特別管理は60日」です。中間処理を経て最終処分場に入るまで時間がかかるため、最終処分終了票だけ長めに取られています。
票が返ってこないとき
期限を過ぎても票が届かない場合、待っていてはいけません。排出事業者には次の対応が求められます。
- ① 速やかに、委託した産業廃棄物の処理の状況を把握する
- ② 生活環境の保全上の支障の除去または発生の防止のために必要な措置を講ずる
- ③ 措置内容等報告書により、都道府県知事等に報告する
つまり「届かないので分かりません」では済まない仕組みです。委託した側にも、最後まで追う責任が課されています。
返送された票は5年保存
運搬終了票・処分終了票・最終処分終了票の送付を受けたら、5年間保存します。立入検査で確認される書類ですので、現場ごと・年度ごとに整理しておいてください。
6月30日の交付等状況報告書
毎年必ず来るのがこれです。紙のマニフェストを交付した事業者は、その状況を都道府県知事等に報告しなければなりません。根拠は廃棄物処理法第12条の3第7項です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出義務者 | 県内で産業廃棄物を排出し、マニフェストを交付している事業者(二次マニフェストを交付する中間処理業者を含む) |
| 対象期間 | 前年4月1日から本年3月31日までに交付した管理票 |
| 受付・期限 | 受付は4月1日から、提出期限は6月30日 |
| 提出先 | 排出事業場ごとに管轄の厚生環境事務所(広島市は産業廃棄物指導課、呉市は環境政策課、福山市は廃棄物対策課) |
| 提出方法 | 電子申請(様式に入力して添付、または直接入力)/紙は1部を郵送または持参 |
実務的なポイントが3つあります。
- 交付の実績がなければ提出は不要。ただし1枚でも交付していれば必要です。
- 押印は不要で、提出は1部。控えは返送されないため、必要なら事前に保存しておきます。
- 共同企業体(JV)の工事は、原則として代表者(幹事)が報告します。処理責任が明確で参加事業者が個別に交付している場合は、交付した事業者ごとに報告します。
工事現場はまとめて報告できる
ここが建設業の方にとって、いちばん実務が変わるところです。
報告は排出事業場ごとが原則です。では県内に工事現場が10か所あれば10通出すのか——そうではありません。広島県は、こう扱っています。
管轄する営業所または支店ごとに一つの報告にまとめられます。
そのときの名称は「県内一円の工事現場等」などとし、営業所等の所在地を管轄する厚生環境事務所へ提出します。広島市・呉市・福山市の分は各市の窓口です。リース業も同様の扱いになります。
| 状況 | 報告の単位 |
|---|---|
| 所在が短期間で一定しない工事現場が県内に複数 | 営業所・支店ごとに1つにまとめられる |
| 固定した事業場が県内に複数 | 事業場ごとに個別の報告書。法人でまとめることはできない |
なお1枚の様式に収まらない場合は、複数回に分けて報告します。業種が複数ある場合は、主な業種を記載するか、業種ごとに報告書を作成します。
電子マニフェストにすると報告が要らない
この年次報告をそもそも不要にする方法があります。電子マニフェストです。
電子マニフェストを使用した分については、情報処理センターが行政報告を行うため、事業者自らが報告する必要はありません。紙と併用している場合は、紙で交付した分だけ報告します。
年間50トン以上の特別管理は義務
選べるとは限りません。令和2年4月1日から、PCB廃棄物を除く特別管理産業廃棄物を年間50トン以上排出する事業場については、その事業場から排出する特別管理産業廃棄物の処理を委託する際に電子マニフェストの使用が義務づけられています。
判定の基準になるのは2年度前の排出量です。たとえば令和8年度の義務は令和6年度の実績で判定されます。根拠は廃棄物処理法第12条の5第1項です。
出さないとどうなるか
交付等状況報告書の提出は法律上の義務です。出していない場合の流れは、広島県の案内でも示されています。
- ① 規定を守っていないと認められる場合、速やかな措置を講ずるよう勧告される
- ② 勧告に従わないときは公表される
- ③ さらに措置命令が出されることがある
- ④ 命令に違反した場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性がある
いきなり罰則ではありませんが、公表の段階で取引に影響が出ます。元請として受注する立場なら、なおさら避けたいところです。
▼建設業許可については全体像をこちらで解説しています:建設業許可とは?広島で取るための5要件・費用・期間
6月に入ると、この報告のご相談が増えます。多いのが「現場が20か所あるんですが、20通書くんですか」というお声です。そこで営業所ごとに1つでまとめられるとお伝えすると、たいてい驚かれます。知らずに現場ごとに作っておられた会社も実際にありました。制度を知っているだけで、作業量が20分の1になる——こういう部分こそ、お伝えする価値があると思っています。
もうひとつお伝えしているのが電子マニフェストです。完全に電子化すれば、この報告そのものが不要になります。「毎年6月が憂鬱だ」という方には、導入のご検討をおすすめしています。返送期限の管理も楽になりますから、紙を綴って追いかける作業からも解放されます。最初のひと手間で、毎年の手間が消えるのです。
よくある質問
マニフェストは排出事業者の義務で、建設工事では元請業者が交付します。返送期限は運搬終了票・処分終了票が90日、最終処分終了票が180日、特別管理は60日。届かないときは処理状況を把握して措置を講じ、措置内容等報告書で報告します。返送された票は5年保存です。
そして毎年6月30日までに交付等状況報告書。広島県では受付が4月1日から始まります。建設業の方に効くのは、県内に複数ある工事現場を営業所・支店ごとに1つにまとめられるという扱いです(固定事業場は事業場ごとに個別)。
電子マニフェストにすれば、この報告自体が不要になります。返送期限の管理も楽になります。特別管理を年間50トン以上排出する事業場は、そもそも電子が義務です。毎年の手間を考えるなら、検討する価値があります。
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条の3(産業廃棄物管理票、第7項の交付等状況報告)、第12条の5(電子マニフェスト)、第12条の6(勧告・公表・命令)
- 広島県「産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付等状況報告」(提出義務者、対象期間=前年4月1日から本年3月31日、報告期間=4月1日から6月30日、電子マニフェスト使用分は情報処理センターが行政報告を行うため事業者の報告は不要、提出先=排出事業場ごとに管轄の厚生環境事務所/広島市は産業廃棄物指導課・呉市は環境政策課・福山市は廃棄物対策課、提出方法)
- 広島県「産業廃棄物管理票(マニフェスト)交付等状況報告に関するQ&A(令和8年4月)」(交付実績がない場合は報告不要・1枚でも交付すれば必要、固定事業場が複数の場合は事業場ごとに個別で法人でまとめられない、所在が短期間で一定しない工事現場等が県内に複数ある場合は営業所・支店ごとに一つの報告にまとめ名称は「県内一円の工事現場等」等とする、共同企業体は原則として代表者が報告、押印不要・提出1部・控えの返送なし、未提出の場合の勧告・公表・措置命令と6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)
- 愛知県「マニフェスト制度について」(運搬終了票・処分終了票は90日以内、特別管理産業廃棄物は60日以内、最終処分終了票は180日以内、期限内に送付を受けられない場合は速やかに処理状況を把握し必要な措置を講じて措置内容等報告書により報告、送付を受けた票は5年間保存)
- 環境省 電子マニフェストの一部義務化に関する案内(令和2年4月1日から、PCB廃棄物を除く特別管理産業廃棄物を年間50トン以上排出する事業場が対象、排出量は2年度前の実績で判定、根拠は法第12条の5第1項および規則第8条の31の2・第8条の31の3)
2026年10月時点の内容です。様式や提出先は変更されることがあるため、報告の前に広島県産業廃棄物対策課または所管の厚生環境事務所でご確認ください。
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