酒類販売業免許とは?
種類・4要件・費用を解説
「店でお酒も売りたい」「ネットでお酒を販売したい」——そう考えたとき必要になるのが酒類販売業免許です。これは飲食店の営業許可とはまったく別の制度で、窓口も保健所でも警察でもなく税務署です。しかも、誰に売るか・どうやって売るかで必要な免許が変わります。この記事では、免許の種類、満たすべき4つの要件、費用と期間、そして広島での相談窓口までを整理します。
- 継続してお酒を売るには、販売場ごとに税務署の酒類販売業免許が必要(酒税法)。
- 誰に売るかで小売業免許(消費者・飲食店へ)と卸売業免許(販売業者・製造者へ)に分かれる。
- 小売はさらに一般・通信販売・特殊の3区分。通信販売は扱える酒類が限られる点に注意。
- 要件は人的・場所的・経営基礎・需給調整の4つ。費用は登録免許税3万円、標準処理期間は提出日の翌日から2か月以内。
酒類販売業免許とは
酒類販売業免許とは、酒税法に基づき、継続して酒類を販売するために受ける免許です。お酒には酒税がかかるため、販売する側も国の管理下に置かれています。だから窓口が税務署なのです。
押さえておきたいのは販売場ごとに必要だという点です。店舗が2つあれば、それぞれで免許を受けます。また、飲食店が店内でお客様にお酒を出すこと(提供)には免許は要りませんが、未開栓のボトルを持ち帰り用に売ること(販売)には免許が必要です。ここを混同している方が少なくありません。
小売業免許と卸売業免許の違い
まず大きく、誰に売るかで2つに分かれます。
| 免許の種類 | 売る相手 | 具体例 |
|---|---|---|
| 酒類小売業免許 | 消費者、飲食店など | 酒販店、コンビニ、スーパー、ネットショップ |
| 酒類卸売業免許 | 酒類の販売業者、酒類製造者 | 問屋、業務用の卸 |
小売業免許の3つの区分
小売業免許は、売り方によってさらに3つに分かれます。
| 区分 | どんな売り方か | 扱える酒類 |
|---|---|---|
| 一般酒類小売業免許 | 販売場(店頭)で消費者や飲食店に売る | 原則としてすべての品目 |
| 通信販売酒類小売業免許 | 2都道府県以上の広い地域を対象に、カタログやネットで売る | 制限あり(下記参照) |
| 特殊酒類小売業免許 | 特別の必要に応じた販売(社員への販売など) | 認められた範囲 |
見落とされやすいのが通信販売の制限です。通信販売酒類小売業免許で扱えるのは、次のものに限られます。
- 国産酒類のうち、カタログ等の発行年度の前会計年度における課税移出数量が、品目ごとにすべて3,000キロリットル未満である製造者が造ったもの
- 地方の特産品を原料として、特定の製造者に委託して造った酒類
- 輸入酒類(この数量制限はありません)
満たすべき4つの要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 人的要件 | 免許を取り消されてから3年を経過していること、過去2年内に国税・地方税の滞納処分を受けていないこと、一定の罪で有罪判決を受けてから3年を経過していることなど |
| 場所的要件 | 正当な理由なく、取締り上不適当と認められる場所に販売場を設けようとしていないこと |
| 経営基礎要件 | 破産手続開始の決定を受けていないこと、経営の基礎が薄弱でないこと |
| 需給調整要件 | 酒税の保全上、酒類の需給の均衡を維持する必要から免許を与えることが適当でない場合に該当しないこと |
実務で問題になりやすいのは場所的要件と経営基礎要件です。場所的要件は、たとえば飲食店と同じ場所で小売をしようとする場合に検討が必要になります。飲食のスペースと販売のスペースが混在していると、取締り上不適当と判断されるおそれがあるためです。
経営基礎要件は、決算の状況や資金、酒類の販売経験などから総合的に判断されます。数字だけでなく、仕入先を確保できているかといった事業としての実現性も見られます。
費用と期間
免許が付与されるときに、登録免許税が免許1件につき3万円かかります。小売業免許の場合の金額で、卸売業免許では額が異なります。このほかに、登記事項証明書や納税証明書などの取得実費、行政書士に依頼する場合はその報酬がかかります。当事務所の報酬は内容によって変わりますので、お見積りをお出ししています。
標準処理期間は、申請書等の提出があった日の翌日から2か月以内です。ただし、書類の補正に要する期間は含まれません。補正が重なると、その分だけ後ろにずれていきます。開店日が決まっている場合は、余裕をもって3か月前には動き始めるのが安全です。
広島の相談窓口
申請先は、販売場の所在地を所轄する税務署長です。ただし実際の相談と審査は、酒類指導官という専門の担当者が置かれた税務署が、複数の税務署の管内をまとめて担当します。
| 税務署 | 直通電話 | 主な担当区域 |
|---|---|---|
| 広島東税務署 | 082-227-1264 | 広島市内、三次市、廿日市市など |
| 西条税務署 | 082-422-2495 | 東広島市、三原市、竹原市 |
自分の販売場がどの担当になるかは、所轄の税務署に確認すると教えてもらえます。申請前に相談しておくと、書類の手戻りを大きく減らせます。
申請の流れ
- ① 販売場と免許の種類を決める。どこで、誰に、どの方法で売るのかを固めます。店頭で消費者に売るなら一般酒類小売業免許、2都道府県以上にまたがる通信販売なら通信販売酒類小売業免許です。
- ② 4つの要件を確認する。特に飲食店と同じ場所で売る場合は、場所的要件の検討が必要です。
- ③ 税務署の酒類指導官に事前相談する。申請前に相談しておくと手戻りを防げます。
- ④ 申請書と添付書類を提出する。申請書のほか、販売場の図面、賃貸借契約書の写し、決算書などを添えます。
- ⑤ 審査・免許の通知。標準処理期間は提出日の翌日から2か月以内。免許が出たら登録免許税3万円を納付します。
最近増えているのが、飲食店の方からの「店で未開栓のボトルも売りたい」というご相談です。お客様に出すのは免許が要りませんが、持ち帰り用に売るとなると別の話になります。
そして、ここが難しいところで、飲食店の中に販売場を設けるのは原則として認められにくい。ただし道が閉ざされているわけではなく、飲食のスペースと販売のスペースを壁や扉できちんと分け、会計や在庫の管理も分けることで、認められる場合があります。結局は図面で区画を示せるかどうかが分かれ目になります。図面は当事務所で作成しますので、まずは店内の状況をお聞かせください。
よくある質問
お酒を継続して売るには、販売場ごとに税務署の酒類販売業免許が必要です。誰に売るかで小売と卸売に分かれ、小売はさらに一般・通信販売・特殊の3区分。通信販売は扱える酒類が限られる点に注意が必要です。
要件は人的・場所的・経営基礎・需給調整の4つ。登録免許税3万円、標準処理期間は提出日の翌日から2か月以内。開店日が決まっているなら、3か月前には動き始めてください。
- 酒税法(酒類の販売業免許、免許の要件)
- 国税庁「酒類販売業免許の手引」(免許の区分、通信販売で扱える酒類の範囲、登録免許税3万円、標準処理期間2か月、申請先)
- 広島国税局(酒類指導官の設置署と担当区域、直通電話)
2026年10月時点の内容です。制度や窓口の担当区域は変更されることがあるため、申請前に所轄の税務署でご確認ください。
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